お気に入りのゲームを高画質でプレイしたい場合、家庭用ゲーム機ではなく「ゲーミングPC」の購入を目指す人は多いでしょう。
ただ、ゲーミングPCを購入するためにネット等を見ていると「ゲーミングPCは自作した方が安い」「BTOなら自作と変わらない」など、さまざまな意見が入り混じっています。
そこで今回は「ゲーミングPCは自作とBTOのどっちが安いのか?」について検証を行いました。ゲーミングPCの購入を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
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自作PCとBTOパソコンの価格比較(前提条件)
BTOパソコンの価格にはFrontierのセール品を使用
今回自作PCとの比較に使用するパソコンは、BTOメーカーである「Frontier」がセールで販売しているパソコンとしました。PCのBTOメーカーはたくさん種類がありますが、価格を比較するとFrontier製のセール品のパソコンが最安値であることが多いので、最安値のBTOパソコンと自作PCを価格を比べてみようということです。
もしBTOパソコンの中でも一番価格が安いFrontier製のパソコンが自作PCよりも高くなれば「自作PCの方がコスパが高い」ということになりますし、その反対に自作PCの価格がFrontier製のパソコンよりも高くなれば「BTOパソコンの方がコスパが高い」ということになります。
自作PCのパーツ価格は価格.comの最安値を適用
反対に自作PCの価格については、当記事執筆時の「価格.comの最安値」とします。自作PCの場合は当たり前かもしれませんが「パーツごとに購入して組み立てる」ということになるため、CPUが〇〇円、GPUが〇〇円~という感じでパソコン全体の金額を計算していきます。
実際の比較の流れとしては「①Frontierで検証に使うパソコンを決める→②パーツ構成を調べる→③パーツごとの値段を価格.comで調べる→④パーツの合計金額を計算して価格の比較を行う」という手順となります。
可能な限り自作PCとBTOパソコンのパーツ構成は同じにする
当然ですが、パソコンの価格はパーツ構成によって大きく変動します。いいパーツを使えばそれだけ値段が上がる傾向にあるため、自作PCとBTOパソコンのコスパを計算するには「できるだけ同じパーツ構成にしたときに自作PCとBTOパソコンのどちらがどれだけ安いのか?」を検証する必要があります。
ただ、BTOパソコンの中にはパソコンのパーツ名が表記されていなかったり、そもそもパーツがBTOメーカー独自で作成していることも多いです。その場合は価格.comで値段を探すことができないので、パーツの相場価格で計算することにします。
実際に自作PCとBTOパソコンの価格を比較してみた!
自作PCとBTOパソコンの比較(ハイスペック帯)
まずはハイスペック帯のパソコンの価格比較です。ゲーミングパソコンでハイスペック帯というと「どのくらいの性能からなのか?」というのは人によって意見が分かれると思います。
個人的には、「GPUにRTX 3070以上を搭載しているパソコン」はハイスペック帯を名乗れると思っています。処理が重いゲームを4K&60fps以上でプレイしようと思えばRTX3070以上程度の性能が必要なので、RTX3070・RTX3080くらいの性能が無ければハイスペックを名乗るのは難しいでしょう。
なのでハイスペック帯のパソコンとしては「intel Core i7-12700F + RTX 3080(12GB)」の組み合わせのBTOパソコンをモデルに選びました。こちらのパソコンならほとんどのゲームを最高設定で遊べるので、まさにハイスペックの名前に恥じない性能ではないでしょうか。
▼ハイスペック帯ゲーミングPCのパーツ構成
パーツ名 (価格.comのリンク) | 価格 | ||
自作PC | BTOパソコン | ||
CPU | intel Core i7-12700F https://kakaku.com/item/K0001413991/ | ¥44,580 | — |
CPUクーラー | AINEX SE-224-XTA https://kakaku.com/item/K0001367327/ | ¥3,235 | — |
CPUグリス | 商品名の記載なし | ¥1000 | — |
GPU | RTX3080(12GB) LHR版 https://kakaku.com/item/K0001416128/ | ¥154,800 | — |
メモリ | 規格(DDR4 PC4-25600 16GB) ×2 (商品名の記載なし) | ¥15,960 | — |
ハードディスク | NVMe SSD 1TB https://kakaku.com/item/K0001211576/ | ¥11,980 | — |
マザーボード | ASRock H670 https://kakaku.com/item/K0001414054/ | ¥17,373 | — |
電源 | 1000W ATX電源 80PLUS GOLD (商品名の記載なし) | ¥15,000(※2) | — |
PCケース | Frontierのオリジナルパーツ | ¥5,000(※2) | — |
OS | Windows11 DSP版(※3) https://kakaku.com/item/K0001398824/ | ¥14,280 | — |
合計金額 | ¥283,208 | ¥314,800 |
※上記のパーツの金額は編集時のものです。パソコンのパーツは変動が激しいため、記事の閲覧時にはパーツ価格が変動している可能性が高いです。
※2.具体的な型番等が記載されていない or Frontierの独自パーツのため、そのパーツの相場価格を表記しています。結構ガバガバなので、「もっと安い!」「もうちょっと値段高いよ!」などのご指摘があればコメント欄にお願いします。
※3.DSP版のOSは単品では購入できないので、マザーボード等、他のパーツと併せて購入する必要があります。
検証した結果としては、自作PCが総額「283,208円」に対し、BTOパソコンは「314,800円」と、約30,000円程度価格が開いていました。価格差の3万円は「パソコン組み立ての手間賃」と考えるべきなのでしょう。
自作PCとBTOパソコンの比較(ミドルクラス帯)
では次に「ミドルクラス帯」のパソコンです。性能としては「4K +高フレームレートでプレイするのはキツイけど、最高設定じゃなければ快適にプレイできる」くらいのものだと僕は認識しています。
自作PCと比較するモデルについては、今回は「Intel Core i7-10700F + RTX 3060ti」の性能のBTOパソコンを選びました。
このRTX 3060tiというと高コストパフォーマンスなグラフィックボードとして人気が高く、RTX 3060tiが搭載されたパソコンを購入する人も多いと言われています。個人的にもRTX 3060ti搭載のBTOパソコンと自作PCの値段差は気になっているので、ミドルクラス帯としてはこのモデルを採用しました。
▼ミドルクラス帯ゲーミングPCのパーツ構成
パーツ名 | 価格 | ||
自作PC | BTOパソコン | ||
CPU | intel Core i7-10700F https://kakaku.com/item/K0001263305/ | ¥34,480 | — |
CPUクーラー | 商品名の記載なし | ¥3,000 | — |
CPUグリス | 商品名の記載なし | ¥1000 | — |
GPU | RTX 3060 Ti 8GB LHR https://kakaku.com/item/K0001366194/ | ¥69,800 | — |
メモリ | DDR4 PC4-25600 16GB (商品名の記載なし) | ¥7,980 | — |
ハードディスク | NVMe SSD 1TB https://kakaku.com/item/K0001211576/ | ¥11,980 | — |
マザーボード | ASRock H570 https://kakaku.com/item/K0001332731/ | ¥11,409 | — |
電源 | 600W ATX電源 80PLUS BRONZE (商品名の記載なし) | ¥6,000(※2) | — |
PCケース | Frontierのオリジナルパーツ | ¥5,000(※2) | — |
OS | Windows10 DSP版(※3) https://kakaku.com/item/K0001027613/ | ¥13,980 | — |
合計金額 | ¥164,629 | ¥179,800 |
ミドルクラス帯のパソコンの価格差については、自作PCが「164,629円」に対し、BTOパソコンが「179,800円」と、約15,000円程度BTOパソコンの方が高い結果となりました。ハイエンド帯のパソコンの価格差が3万円だったことを考えると、そもそもの本体価格が低くなった分、自作PCとBTOパソコンの価格差も減少していることが分かります。
自作PCとBTOパソコンの比較(ロースペック帯)
別名「エントリー帯」などとも呼ばれ、初めてゲーミングパソコンを使うユーザーや、動作が軽いゲームのプレイが目的のユーザーが購入することの多い価格帯の商品です。
名前だけ聞くと「あんまり性能が良くないパソコンなのかなぁ」と思うかもしれませんが、通常画質であれば最新の3Dゲームもサクサク動く製品も多いです。
さすがにグラフィック設定を最高画質にしたり、フレームレート数を上げるのはキツイですが、そこそこの画質で遊ぶ分には特にストレスが掛からずゲームをプレイすることができると思います。
こちらのエントリー帯のパソコンとしては「intel Core i5-10400F + GTX 1660 SUPER 6GB」を選択しました。価格としても10万円強と、ゲーミングパソコンとしては比較的手が届きやすい製品ではないでしょうか(とはいえ、家庭用ゲーム機と比べれば非常に高価ですが……)。
更にCPUやGPUの性能を落とせば数万円でゲーミングパソコンを買うこともできますが、このモデルよりも性能を落とすのであれば家庭用ゲーム機を購入した方がいいと思います。
▼エントリー帯ゲーミングPCのパーツ構成
パーツ名 | 価格 | ||
自作PC | BTOパソコン | ||
CPU | intel Core i5-10400F https://kakaku.com/item/K0001266933/ | ¥16,980 | — |
CPUクーラー | 商品名の記載なし | ¥3,000 | — |
CPUグリス | 商品名の記載なし | ¥1000 | — |
GPU | GTX 1660 SUPER 6GB https://kakaku.com/item/K0001171866/ | ¥37,389 | — |
メモリ | DDR4 PC4-25600 16GB (商品名の記載なし) | ¥7,980 | — |
ハードディスク | NVMe SSD 512GB https://kakaku.com/item/K0001136685/ | ¥7,333 | — |
マザーボード | Intel B560 https://kakaku.com/item/K0001428350/ | ¥11,409 | — |
電源 | 600W ATX電源 80PLUS BRONZE (商品名の記載なし) | ¥6,000(※2) | — |
PCケース | Frontierのオリジナルパーツ | ¥5,000(※2) | — |
OS | Windows10 DSP版(※3) https://kakaku.com/item/K0001027613/ | ¥13,980 | — |
合計金額 | ¥110,071 | ¥119,800 |
最後のエントリー帯のモデルでは、自作PCが「110,071円」で、BTOパソコンが「119,800円」で、価格差は約10,000円程度ということになりました。これまで検証したパソコンの価格差がそれぞれ「ハイスペック帯:3万円」「ミドルクラス帯:1.5万円」だったのに比べると、更に安くなっていることが分かります。
検証結果:BTOパソコンよりも自作パソコンの方が1割程度安い
自作PC | BTOパソコン | 価格差(BTO / 自作PC) | |
ハイスペック帯 | ¥283,208 | ¥314,800 | 111.2% |
ミドルスペック帯 | ¥164,629 | ¥179,800 | 109.2% |
ロースペック帯 | ¥110,071 | ¥119,800 | 108.8% |
上記の3つのスペック帯のパソコンで比較したところ、すべての価格帯のパソコンにおいて「自作PCの方がBTOパソコンよりも安い」という結果になりました。
また、BTOパソコン÷自作PCで価格倍率を計算(上図の「価格差(BTO / 自作PC)」を参照)したところ、おおむね「自作パソコンはBTOパソコンより1割程度安い」という結果になりました。
ただ自作PCの価格については送料や組み立て工具、ケーブル等の費用を考慮していないので、それらを含めるともう少し自作PCに掛かる費用は増えそうです。
自作PCとBTOパソコンはどちらがおすすめ?
この記事の中での検証で、おおむね「自作PCはBTOパソコンよりも1割程度安い」ということが分かりました。ざっくりというと「30万円のBTOパソコンと同じ性能で自作PCを組む場合、だいたい27万円くらいで出来る」という感じですね。
この「1割」を高いと思うか安いと思うかは人によって異なると思います。性能にこだわる人なら「BTOパソコンで余計なお金を払うくらいなら一つ上のグレードのパーツを買う!」となることもあるでしょうし、反対に「面倒な組み立てをやってくれるくらいなら1割くらい払ってもいいかな」という方もいるでしょう。
ただ、結局自作PCかBTOパソコンかどっちを選ぶのが性能なのか?という問いについては、僕は「初めてゲーミングパソコンを買うなら絶対にBTOパソコンを買っておけ!」と言います。なぜならBTOパソコンであれば初期不良の場合はメーカーに問い合わせるだけで簡単に交換してもらえますが、自作パソコンは起動しなかったときに自分で原因を見つけなければならないからです。
既にBTOパソコンの購入歴もあり、ある程度パソコンのパーツ事情に詳しいのであれば自作PCでも全然OKですが、パソコン初心者が自作に取り組むのははっきり言って無謀です。YouTube等で「自作パソコンの作り方」みたいな動画を見ればできないこともないですが、最低でも「パソコンで〇〇の作業をしたいからCPUとGPUに××を付けて~」みたいに決められる能力は必要です。
BTOパソコンはどこのメーカーが安い?
ここからは余談ですが、知りたい人も多いと思う「BTOパソコンはどこのメーカー製が一番安いのか?」について話していきます。
BTOメーカーとして有名なのは「ドスパラ」「パソコン工房」「Mouse」「Frontier」「Tsukumo」などだと思いますが、先述したように安さのみで語るなら「Frontierのセール品」が最安値だと思います。Frontierと同様にドスパラやパソコン工房などでも定期的にセールは行っていますが、値段面ではFrontierのセールに一歩劣ってしまいます。
ちなみにFrontierはだいたい一年中セールを行っています。例として「月初セール」「月末セール」「GWセール」「決算セール」「年末年始セール」など、毎日何かしらのセールが開催されていることが多いです。
セール品の値下げについては「決算セール」「年末年始セール」などのイベント時のセールの方が安く買えることが多いですが、通常セールでも他のサイトに比べると非常に安いのでそこまで気にするほどではないと思います。
ただし難点として、Frontierの場合は注文してから到着まで時間が掛かることが多いことが注意です。注文の際に「予定発送日」が表示されると思いますが、遅ければ1か月後に発送なんてこともあります。
最安値は間違いがなくFrontierのパソコンですが、到着が遅いため一日でも早くパソコンが欲しい人は他のメーカーで注文した方がいいかもしれません。
結論:自作PCの方が安いけど、初心者におすすめはBTOパソコン
今回「自作PCとBTOパソコンの価格差」について調査を行ったところ、結果として「自作PCはBTOパソコンよりも大体1割程度安く作ることができる」ということが分かりました。BTOメーカーで30万円のパソコンなら、自作すれば27万円程度ということですね。
この「1割」という数字はなかなか無視できない大きさだと思います。パソコンを自作するかわりに予算を1割増額することができれば結構なスペックアップを狙えるため、もし自作PCを作ることができるスキルを持っているなら、BTOではなく自作PCを作った方がコストパフォーマンスが高い結果になるでしょう。
ただ、初めてゲーミングパソコンを購入するという人は、いろいろと面倒な自作PCではなくBTOパソコンを選んだ方が間違いはないと思います。もし「パソコンのパーツを自分好みに入れ替えてみたい」という場合も、BTOパソコンならある程度パーツ交換ができる設計になっていることが多いです。
個人的には「初めてゲーミングパソコンを買うならBTOパソコンで、二回目以降は自作PCに……」という感じでステップアップしていくのがいいと思います。