メモリのDRAMとSRAMとは?それぞれの違いについて解説します!

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パソコン関係での用語で「RAM(メモリ)」という言葉は有名ですが、実はそのRAMが「DRAM」と「SRAM」という2種類に分かれていることは知らない人が多いと思います。

それぞれデータの保存形式によって区分され、同じRAMでも「DRAM」と「SRAM」は使用されている製品や特性などが全く違います。

今回はそんなDRAMとSRAMの違いについて解説を行っていくので、どのような違いがあるのかについて一緒に見ていきましょう。

 

そもそもRAMってなに?

DRAMとSRAMの違いについて説明をする前に、まずは「RAMとは何なのか?」ということについて話していきます。

RAMはパソコンの中でも重要な部品の一つですが、実際にどのような働きをしているのかは知らない人も多いと思います。

ここではRAMの機能や、ROMとの違い等について解説を行っていきます。

 

RAMの基礎知識

RAM(Random Access Memory)は「メインメモリ」「主記憶」などとも呼ばれるパソコンの主要部品の一つで、パソコンが計算処理を行うときや、何らかの画面を出力するときなどに一時的なデータを格納するために使用されます。

 

ちなみにパソコンの構造的に言うと、RAMはCPUとHDD(SSD)の中間にあるイメージです。

例えばビジネスでよく使用されるMicrosoft Word やMicrosoft Excelなどのソフトを起動した際は、HDD(SSD)の中に格納されてあるソフトのデータを取り出してRAM上に置き、RAM上にあるデータを使ってCPUが実際の処理を行うような仕組みになります。

 

パソコン部品を例えるとき、RAMはよく「机の広さ」と言われることが多いです。パソコンに搭載されているRAMが少なければ複数のアプリを同時に起動することができなく(机の上に同時にたくさんの物を置けなく)なります。

ちなみに一般的なパソコンであれば4GB~8GBくらいのRAMが積まれていることが多く、ハイスペックパソコンだと16GB~32GBくらいのRAMが搭載されていることが多いです。

 

RAMとROMの違い

パソコンのスペック等に関するネット記事などを見ていると、「RAM」と「ROM」という似たようなものが2つ出てくると思います。両方とも同じ「〇〇GB」などと表記したりするので非常に紛らわしいですよね。

 

このRAMとROMの一番大きな違いとしては、電源を切ったらデータが消えるのが「RAM」で、電源を切ってもデータが消えないのが「ROM」です。

そのため一度ROM(HDDやSSD)に保存したデータはパソコンの電源を落としても消えることはありませんが、RAM上に保存しているデータはパソコンを落としたら綺麗さっぱりなくなってしまいます。

 

例えば「パソコンのWordやExcelを使って作業をしていて、保存する前に電源を切ってしまいデータが飛んでしまった」という経験をしたことがある方は多いと思います。これはWordやExcelで「上書き保存」などをするまではRAM上でデータが保持されているだけなので、RAMの特性上、電源が切れてしまったらデータも一緒に消えてしまうからです。

 

RAMは大きく2つに分類できる

こうしたパソコンで処理を行う上で非常に重要な「RAM」ですが、RAMは大きく分けて「DRAM」と「SRAM」に分類できます。どちらも揮発性メモリ(電源を切ったらデータが失われるメモリ)ではありますが、その中でもデータの失われやすさが違います。

 

詳しくは後ほど解説しますが、時間経過でデータが消えていくため定期的に書き直しが必要なのが「DRAM」で、一度書き込んだデータは通電している限り保持されるのが「SRAM」です。

 

PCのスペック表などに書かれている「メモリ」と言えば、一般的に「DRAM」の方を指しています。

もう一方の「SRAM」は「キャッシュメモリ」という部品に使用されることが多く、SRAMについては殆どの人は意識したことがないと思います。

 

DRAMの特徴

DRAM(Dynamic Random Access Memory)とは半導体メモリであるRAMの方式のうち、定期的なリフレッシュ動作を必要とするメモリのことを指します。

 

上記のリフレッシュ動作とは、IT用語で「蓄積されているデータを保持したり、最新の状態に保つために必要な処理」のことを指します。

DRAMでは「コンデンサの電荷」として記憶データを蓄えていますが、この電荷は時間経過とともに減少していきます。そのためDRAMでデータを保持するためには定期的に「データの再登録」を行う必要があります。

 

DRAMは同じ半導体メモリであるSRAMと比較して容量単価が安いため、パソコンの「メインメモリ」などに使用されています。そのため一般的に「RAM(メインメモリ)」というと、こちらのDRAMのことを指すことになります。

 

▼DRAMは主にPCの「メモリ」として使用される。

 

SRAMの特徴

SRAM(Static Random Access Memory)とは半導体メモリであるRAMの方式のうち、リフレッシュ動作を必要としないメモリのことを指します。

 

DRAMでは時間経過とともにデータが失われる性質上、定期的にデータの再登録をしてあげる必要がありました。

ただSRAMの場合はリフレッシュ動作が不要で、通電している限りDRAMのようにデータが失われることはありません

 

SRAMはDRAMよりも性能的には優れている代わり、容量単価がDRAMとは比べ物にならないほど高いです。そのため価格よりも性能が求められる「キャッシュメモリ」等のパーツで使用されています。

ちなみに昔はキャッシュメモリがCPU外部に存在することが多かったですが、今はキャッシュメモリをCPUに内蔵するのが主流となっています。

 

▼SRAMが使われることが多い「キャッシュメモリ」はCPUに内蔵されていることが多い

 

DRAMとSRAMの違いについて

上記でDRAMとSRAMの特徴についてまとめましたが、具体的に「DRAMとSRAMは何が違うのか?」ということについては分かりにくかったと思います。

なのでここからは、理解しやすいようにSRAMとSRAMの違いを表で比較してみます。以下の表をご覧ください。

 

 

DRAM

SRAM

語句の意味

Dynamic(動的な)

Static(静的な)

価格

安価

高価

容量

多い

少ない

アクセス速度

遅い

速い

リフレッシュ動作

必要

不要

消費電力

大(リフレッシュ動作が必要なため)

主な用途

メインメモリ

キャッシュメモリ

※)価格や容量の「安い」「大きい」などについては、それぞれと比較した際の基準です。

 

ざっくりと言えば、「容量単価は高いけど性能がいいSRAM」と、「容量単価は安いけど性能は微妙なDRAM」と考えていただければわかりやすいです。

 

■価格と容量について

DRAMとSRAMは両方とも同じ不揮発性メモリではありますが、SRAMはDRAMに比べて容量単価が圧倒的に高いです。

 

DRAMが使われているメインメモリは、一般的なパソコンで「4GB~8GB」くらいは搭載されていることが多いです。値段も標準的なメモリなら「1GB:500円~」程度で購入できることが多いです。

ただ、SRAMの場合は「64Mbit(8MB):6,000円~」くらいで販売されているため、DRAMと同じ要領をそろえようと思えばパソコン本体よりも高くなってしまいます。

 

また、SRAMはフリップフロップ回路を使用しており、更には必要な内部配線もDRAMに比べれば多いため根本的に大容量化に向いていない仕組みになっています。

市販されている製品でもDRAMは数十GBの製品が多い中、SRAMは数MB程度の製品が主流となっています。

 

■アクセス速度について

 

実際にCPUやRAMでデータのやり取りを行う場合、アクセス速度についてはSRAMの方がDRAMよりも早いです。

 

ちなみにSRAMの方が高速な理由としては以下の理由があります。

・CPUと物理的な距離が近い

・リフレッシュ動作によるアクセス制限が発生しない

・レイテンシ(データの転送要求を出してから、実際にデータが届くまでの遅延時間)が短い

 

SRAMは特性上大容量化が難しいというデメリットはありますが、性能だけを見るとDRAMよりも優れています。

 

■消費電力について

消費電力については、DRAMよりもSRAMの方が省電力で動作します。

 

特にスタンバイ時での電力消費の差が顕著で、DRAMの場合は「リフレッシュ動作」が必要なため定期的に電流を流してあげる必要がありますが、SRAMは時間経過でデータが失われることが無いため、DRAMのように余分な電気を消費することがありません。

 

ちなみに余談ですが、SRAMに小型電池などを装着して疑似的な「不揮発性メモリ」として扱うことも可能です。SRAMはスタンバイ時での消費電力が低いため、ボタン電池などの小容量の電池でも比較的長いあいだ使用し続けることができます。

 

■主な用途

表中にも記載されていますが、PCパーツとしてDRAMは「メインメモリ」に、SRAMは「キャッシュメモリ」に使用されています。

 

メインメモリについては、パソコンのスペックに書かれている「メモリ:8GB」などのことです。そのため一般的に「メモリ」というとDRAMのことを指していることになります。

対してキャッシュメモリとは「頻繁に使用するデータなどを保持しておくことでアクセス速度を向上させる」ためにあり、基本的にCPUに内蔵されている形となります。

 

上記の表に記載しているとおり、メインメモリとなるDRAMはアクセス速度が遅く、CPUが計算を行う度に必要なデータをDRAMやHDDに取りに行っていると時間が掛かってしまいます。

そこでよく使われるデータをCPUと物理的に距離が近く、アクセス速度が速いSRAMの中に収めておくことにより、より高速にデータの受け渡しが可能になるということです。

 

まとめ:DRAMとSRAMの違いについて

今回はDRAMとSRAMの違いについて解説を行いました。

DRAMとSRAMの特徴としては以下の通りです。

 

■DRAMの特徴
・容量単価が安い
・リフレッシュ動作が必要
・SRAMに比べるとアクセス速度は遅い
■SRAMの特徴
・容量単価は非常に高い
・リフレッシュ動作は不要
・DRAMに比べるとアクセス速度が高い

 

また、上記の特徴を活かして、それぞれDRAMは容量重視の「メインメモリ」に、SRAMは性能重視の「キャッシュメモリ」に使用されることが多いです。

DRAMが使用されているメインメモリや、SRAMが内蔵されているCPUなどの部品についてはパソコンを開けると簡単に見ることができるので、もし興味があるなら一度パソコン内部を除いてみると面白いと思います!

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