こんにちは、バニラアイスです。
今日の外務員試験の5択問題対策は【債券業務編】となります。
この債券業務では利回りなどの計算も多く、計算問題を苦手とされている方は苦労しているのではないでしょうか?
公式を覚えて、それぞれの解き方を暗記してと、普通に勉強をしていたらなかなか時間もかかって大変ですよね。
ただまじめに覚える必要のない部分も多くあり、それを知れば勉強時間を大幅に短縮することができます。
私も覚える必要があるところ、必要がないところを区別したことで10日間という期間で合格することができました。
今回も試験に出る部分のみを抜き出して解説をするので、記事の内容だけは覚えて試験に臨みましょう。
この勉強方法さえできれば、これから勉強を始める人でも短時間で合格できると思います。
見出し
債券業務での5択問題の頻出部分について(例問:8問・出題数:3問)
〇×問題:10点 5択問題:30点
先述した通り、この債券業務の5択問題で頻出の部分として主に以下の6点があります。
パリティ価格及び乖離率の計算
転換社債、金利、クレジットスプレッド、株価、ボラティリティの関連性
利回り計算(直接利回り、応募者利回り、所有者利回り、最終利回り)
経過日数、経過利子の計算
受渡代金の計算
この中でも特に利回りの計算のボリュームが多く、外務員試験でも時間がかかる部分として有名です。
直接利回り、応募者利回り、所有者利回り、最終利回りの合計4つがあり、全て覚えようとすると途方もない時間がかかります。
しかしどれも考え方は一緒なので、そこを理解さえできてしまえば簡単に解けるようになります。
この記事では一から解説を行っていくので、ぜひ覚えて時短合格を目指しましょう!
転換時の取得株数及び受取金額
問題①
転換価額420円のA社転換社債額面100万円を株式に転換した場合の取得株数及び受取金額について、正しいものの番号を1つ選びなさい。
1 取得株数 2360株 受取金額 400円
2 取得株数 2380株 受取金額 400円
3 取得株数 2400株 受取金額 なし
4 取得株数 2420株 受取金額 なし
5 取得株数 2440株 受取金額 なし
解説
正解:2
*****計算*****
取得株数=額面金額÷転換価額
①取得株数の計算
100万円÷420円=2380株
②受取金額の計算
100万円-(2380株×420円)=1,000,000円-999,600円=400円
*****考え方*****
まず、転換価額について理解を進めましょう。
転換価額と聞くと難しげな言葉に見えますが、単に転換社債(株式に変えることができる社債)を株式に変えたときに1株何円で発行されるのかということです。
つまり転換後の株式の時価ということで、社債の額面価格÷転換価額で発行できる株式の量を求めることができます。
額面100万円の社債を、1株420円で発行したので、取得株数は2380株となるというわけです。
名前は厳めしいですが、やってることは分かりやすくて簡単ですよね。
では次に受取金額について解説します。
ここでいう受取金額とは、株式に変換できなかった余りの部分のことで、1株の金額分に満たない転換社債をお金に変えてくれます。
なので受取金額は必ず転換金額以下になります。上記の問題で、転換価額が420円で受取金額が820円でだった場合、820円から420円分の株を1株発行できるわけですからね。
あくまで転換社債は「社債を株式に転換できる制度」なので、当然受取金額だけをもらうということはできません。
パリティ価格及び乖離率の計算
問題②
次の条件の転換社債について、パリティ価格及び乖離率の組み合わせとして正しいものを1つ選びなさい。
なお、パリティ価格については円単位未満を、乖離率については小数点第3位以下を切り捨てること。
転換価額 600円 転換社債の時価 100円 転換の対象となる株式の時価 650円
1 パリティ価格 92円 乖離率 7.40%
2 パリティ価格 92円 乖離率 8.20%
3 パリティ価格 108円 乖離率 -7.40%
4 パリティ価格 108円 乖離率 -8.20%
5 パリティ価格 108円 乖離率 -9.00%
解説
正解:3
*****計算*****
パリティ価格=株価÷転換価額
乖離率=(転換社債の時価-パリティ価格)÷パリティ価格
①パリティ価格
650円÷600円×100=108円
②乖離率
(100円-108円)÷108円=-7.40%
*****考え方*****
最初にパリティ価格についての説明です。
「パリティ価格とは何ぞや?」という質問に一言で答えると、転換社債の株式価値を表す値です。
転換社債を買った投資家は、株式に転換することも、そのまま社債として持ち続けることも好きに選ぶことができます。
ただ、株式に転換するのが得な場合と、社債として持ち続ける方が得な場合の2パターンがあり、どちらが得なのか分からないと投資家も判断できませんよね。
そこで使うのが、このパリティ価格です。この指標を使えば、現在持っている転換社債を株式に変えたときに得なのか損なのかを調べることができます。
一般的に、転換社債の時価と比べてパリティ価格が高いほど株式に転換した方が得で、低いほど社債として持ち続けた方が得になります。
上記の問題だと転換社債の時価が100円、パリティ価格が108円で、パリティ価格の方が高いので株式に変換した方が有利ですね。
転換後の株式価値を表す転換価額が1株600円で、転換の対象となる株式の時価が1株650円なので、本来650円で買える株を転換社債を通してなら1株600円で購入できるわけです。
もちろん転換価額600円は「転換社債を株式に変換したときの発行価格」なので、株式取得後は時価の650円に戻ります。1株で50円も儲けが出るなら投資家はこちらを選ぶべきでしょうね。
少し説明が長くなってしまいましたが、次に乖離率についてです。
乖離率とは、転換社債の時価とパリティ価格との差を表します。
先ほどパリティ価格の説明で、「投資家が社債の転換を行う判断材料」と言いましたが、この乖離率も同様です。
一般的に乖離率の値がプラスになるなら社債のまま持っておいた方がよく、マイナスなら株式に転換した方が得というわけです。
例問ではマイナスの値をとっているので、株式に変換した方が得になります。
*****公式の覚え方*****
この問題では公式を覚える必要はさほどありません。
試験の問題では、転換価額、転換社債の時価、転換対象の株式の時価の3つの数字が与えられていることが多いのですが、これは全て計算に使う数字です。
そして上記の問題のように、600円、650円、100円と、都合よく数字がばらけています。
パリティ価格では転換価額と株価の2つを使い、乖離率ではパリティ価格と転換社債の時価の2つを使うので、あとは組み合わせさえ分かれば簡単に計算できます。
まず値が近い600円と650円を使ってパリティ価格の108円を出して、そこからまたしても値が近い100円と108円で乖離率を出すという流れです。
あとは計算で「どちらが分母、分子に入るか」が問題ですが、これは問題集を解いていれば自然に覚えます。
私は問題のレイアウトを記憶して、「問題文で初めに出てくる転換価額が分母に入る」なんて覚え方をしていました。
試験でも全く同じレイアウトだったので、それで覚えていても大丈夫です。
転換社債、金利、クレジットスプレッド、株価、ボラティリティの関連性
問題③
転換社債と金利、クレジットスプレッド、株価、ボラティリティとの関係として正しいものの番号を1つ選びましょう。
転換社債 | 金利 | クレジットスプレッド | 株価 | ボラティリティ | |
1 | 価格上昇 | 上昇 | 拡大 | 下落 | 下落 |
2 | 価格上昇 | 低下 | 縮小 | 上昇 | 上昇 |
3 | 価格下落 | 上昇 | 拡大 | 下落 | 上昇 |
4 | 価格下落 | 上昇 | 縮小 | 上昇 | 上昇 |
5 | 価格下落 | 低下 | 縮小 | 下落 | 下落 |
解説
正解:2
*****解き方*****
ここでは転換社債と金利やクレジットスプレッドの関係性を覚えるという解き方もありますが、手っ取り早くいくなら表自体を覚えましょう。
転換社債 | 金利 | クレジットスプレッド | 株価 | ボラティリティ |
価格上昇 | 下落 | 縮小 | 上昇 | 上昇 |
価格下落 | 上昇 | 拡大 | 下落 | 下落 |
金利、クレジットスプレッドが転換社債の反対で、株価とボラティリティが転換社債と同じです。
この表は本番の試験でも同じ順で出ることが多いので、順番さえ覚えていれば簡単に問題は解くことができます。
債券業務ではパリティ価格や利回りの方が出題率が高いので、案外実際の試験に出なくて拍子抜けしたという場合も多くあります。
そこまで時間をかけて覚えるというよりは、転換社債と金利などの関係性の問題が来たら「確か前2つは転換社債と反対で、後ろ2つは同じだったよなー」と思い出せる程度で構いません。
まとめ
債券業務はここで一時休憩です。
今回は転換社債の問題が中心となりましたが、解説はいかがだったでしょうか?
もし分からないところなどがあれば、コメント欄に書き込んでいただけると返信いたします。
残りの利回り、経過利子、受取代金などの範囲については次の記事で解説を行っていくので、もしよければそちらもご覧ください。
また見に来てね!
*****次回*****