銀行員と聞くと、頭が良くて高給で安定しているなど、良いイメージが多く浮かんできます。銀行の支店も昼の3時には閉店し、傍から見ると残業なんて全然していないように見えます。「銀行員って楽そうだからなってみたいな!」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか?
しかし、銀行員と言うのはそう簡単なものではありません。金融のプロとして様々な知識を学び続けなければならなく、いくら歳をとっても日々勉強を欠かすことは出来ません。
では、銀行員はどんな資格を取得しなければならないのでしょうか?
本記事では、銀行員に「必須な資格」と「キャリアアップのための資格」をそれぞれ解説していきます。
銀行員が資格を取得する理由とは?
では最初に、「なぜ銀行員が資格を取得しなければならないのか?」と言うことについて解説をします。
銀行員が資格を学ぶ理由はたくさんありますが、主なものは以下の3つです。
- 金融のプロとしてあらゆる知識に精通する必要があるため
- 業務内容の変更が頻繁にあるから
- 新たなビジネスモデルに挑戦しているから
☆☆詳しくはこちらの記事に書いてあります。
取得する資格の中には、「本当にこれ必要なの?」と思うようなものもあります。
同じような内容の資格が被っていたり、取得しても仕事で全く使えなかったりと、すべての資格が必要とは言えません。
プライベートの時間を削って勉強しなければならないため、出来れば業務や評価に直結する資格を厳選して取りたいと思うのが当然です。
しかし、銀行員であるならたとえ不必要に思える資格でも勉強することを避けては通れません。
資格の取得が人事評価と繋がっている以上、昇進や昇給を諦めない限り資格の勉強を怠ることは不可能でしょう。
もちろん、出世欲や金銭欲が無い場合は話が変わります。勤務時間外の資格勉強を最低限にして、趣味やレジャーに全力を傾けることが出来ます。
案外そうした人の方が銀行では長続きするのかもしれませんね。
銀行員が取得する資格は2種類に大別される
銀行員が取得する資格の種類は主に以下の2種類に分かれます。
1つ目は、『銀行員に必須な資格』です。
この資格は比較的若手うちに取得することが多く、難易度が高いものはあまりありません。
銀行の業務内容を覚えるものや、所持していなければ業務自体が出来ないものなどがあります。
ゆえに「これら資格は一発合格して当然」という風潮もあり、もし落ちてしまえば役立たずの烙印を押されることも少なくはありません。
2つ目は、『キャリアアップのための資格』です。
勤続年数が数年~十数年の中堅銀行員が取得する資格群です。
このくらいになるとボチボチ難易度の高い資格も増え、勉強期間が1年を超える国家試験も登場します。
難易度のゆえに「資格に落ちる=無能」とはなりませんが、役職持ちになるには最低1つは必要でしょう。
銀行員に『必須』な資格
まず、若手のうちに取得を求められる資格についてです。
こちらの資格は、入行後に業務のイロハを学びながら並行して勉強していくこととなります。
一つひとつの難易度はさして高くありませんが、とにかく資格の数が多いです。
また、所持していなければ業務ができないタイプの資格もあるので、それらの資格は必ず合格しなければなりません。
以下、銀行員として『必須』となる資格の種類です。
- 証券外務員(投資信託の営業に必要)
- 生命保険募集人(生命保険の勧誘に必要)
- 損害保険募集人(損害保険の勧誘に必要)
- 内部管理責任者(役職持ちになるために必要)
- 銀行業務検定3級(銀行業務の知識を証明するために必要)
- 日商簿記検定3級(決算書類を読み解く力で、融資業務では必須)
- ファイナンシャルプランニング技能士3級(アセットマネジメントの登場で価値上昇中)
このうち上3つの「証券外務員」「生命保険募集人」「損害保険募集人」は取得しなければそれぞれの営業行為ができません。
証券外務員は銀行が取り扱う投資信託の販売にかかわり、残りの2つは保険の販売に関係します。
若手の内は営業職に就く場合が多いので、これらの資格がなければまともに仕事は行えません。
特に銀行の収益に深く関わっている投資信託を取り扱う証券外務員は非常に重要な資格なので、入行前に勉強させられる場合が大半です。
また、上記の銀行業務検定は「法務」「財務」「税務」の3種類の取得が必要とされます。
4級~2級が存在しており、3級から取り始める方が多数です。上の証券外務員などに比べると優先度の落ちる資格ですが、やっぱり取得できなければ困ります。
銀行の業務にかかわる資格なので大切ですが、取得する意味を考えると「う~ん……」となってしまうでしょう。
問題も過去問の焼き直しが中心なので、知識が定着しない資格を勉強する意味はあるのかと考えてしまいますね。
キャリアアップのための資格
ここからは入行して数年が経ったベテランが挑戦する資格の種類です。
以下、キャリアアップのための資格一覧です。
- 中小企業診断士(あれば融資業務で怖いものなし)
- 宅地建物取引主任者(不動産を売買できるように)
- 税理士(税務官公署などに提出する書類が作成可能に)
- 行政書士(官公庁などに提出する書類が作成可能に)
- 証券アナリスト(証券投資の専門家になれる)
- 日商簿記検定1級(税理士ほどではないが、あれば融資業務で有利に)
- ファイナンシャルプランニング技能士1級(名刺にFP1級と書ければ信用に)
このあたりから難易度の高い資格や、独占業務のある士業が登場し始めます。
誰しも名前を聞いたことのあるビッグタイトルばかりで、取得には1年単位の勉強機関を設けなければなりません。
その代わりに取得後は役職付きになれる可能性がグンと上がります。
この中ではFP1級を取得する人が銀行員では多くいる印象です。
マイナス金利の影響で収益モデルが崩壊して、アセットマネジメントを第2の収益モデルにしようと考えている銀行もあるからですね。
繰り返しになりますが、このあたりの資格を取得できると管理職への道が開けます。
銀行内の熾烈な権力争いに勝つためには、難易度の高い資格を取得して人事評価を上げていかなければなりません。
たとえ1つの難関資格を取得しても終わりではなく、さらに新しいものにチャレンジをする必要があります。
勉強好きな方には「資格取得=昇進」となるのは嬉しいかもしれませんが、何年も勉強を続けるのは気が遠くなる作業だと思います。
銀行に就職するためには「覚悟」をしよう
ここまで書いた通り、銀行での昇進、昇給は資格取得が条件である場合が多いです。
銀行に入って1年目で多数の資格を勉強させられ、ベテランの行員でも勉強は続けなければなりません。
入行後、夢見ていた銀行と違い、嬉しくないギャップを目にするかもしれません。
苦労して銀行に入って、資格の勉強が大変すぎて数か月で辞めるのは悲しすぎますよね……。
そうならないためには、「出世のためには定年まで勉強するぞ!」という強い決意を持つことが必要となるでしょう。