前回に引き続き、証券外務員試験の5択問題解説をするよ!
試験の概要や勉強方法が分かっていない人は下の記事を見てね!
☆証券外務員の概要☆
☆証券外務員の勉強方法☆
見出し
株式業務での5択問題の頻出部分について(例問:8問・出題数:4問)
〇×問題:12点 5択問題:40点
実際の外務員試験で頻繁に出題されるものとして、以下の8点があります。
①注文伝票
②契約締結時交付書面
③権利付相場
④自己資本利益率(ROE)
⑤株価純資産倍率(PBR)・株価収益率(PER)
⑥株価キャッシュフロー倍率
⑦EV/EBITDA倍率
⑧株式売買の約定代金
このうち暗記問題が上の3つで、ROEからは全て計算問題となります。
一度の記事に全て纏めてしまうと長くなってしまうので、前半4問、後半4問の2部に分けて解説を行っていきます。
注文伝票
金融商品取引業者(証券会社)は顧客から有価証券の売買を受託するわけですが、その際には必ず注文伝票と呼ばれる書類を作成しなければなりません。
注文伝票とある通り、顧客から「〇月✕日に△円分A社株の株を買いたい」などと注文が入った場合に作ります。
勘違いしやすいですが、売買が成立した場合ではありません。注文が入った場合なので、もちろんこの後顧客が注文を取り消す可能性もあります。
問題①
次のうち「注文伝票」の記載事項に該当しないものの番号を1つ選びなさい。
1 自己または委託の別
2 銘柄
3 受注日時
4 約定日時
5 手数料
解説
正解:5
注文伝票の主な記載事項は次の通りです。
・銘柄
・売付けまたは買付けの別
・数量(受注数量・約定終了)
・日時(受注日時・約定日時)
・約定価格
・自己または委託の別
・取引の種類
・指値または成行の別
この中でもピンクのマーカー部分が試験には出やすいので、ここを主に暗記しておきましょう。
契約締結時交付書面
注文伝票を発行した後、売買が正式に成立した場合は契約締結時交付書面を作成し、顧客に交付しなければなりません。
流れとしては、「顧客からの買い注文・売り注文→注文伝票を作成→契約成立→契約締結時交付書面」となるわけです。
契約締結時とある通り、契約が締結された場合に限り作成するわけです。
問題②
次のうち「契約締結時交付書面」の記載事項に該当するものの番号を2つ選びなさい。
1 営業所または事務所の名称
2 受注価格
3 受注数量
4 指値または成行の別
5 売付けまたは買付けの別
解説
正解:1、5
契約締結時交付書面の記載事項は以下の通りです。
・手数料
・売付けまたは買付けの別
・顧客の氏名または名称
・自己または委託の別
・銘柄
・単価
・取引の種類
・約定数量
・対価の額
注文伝票の時と同じく、ピンクのマーカー部分が頻出なのでしっかりと覚えておきましょう。
権利付相場
経営活動の一環として、会社は自社株式を分割するケースがあります。
株式の分割をする際に、分割前の株式の値段を権利付相場といい、株式分割が行われた株式の値段を権利落相場と言います。
例えば1株1000円の株を分割して2株にした場合、2株で1000円(つまり1株あたり500円)まで値段が下がります。
一見すると何も意味がないように見えますが、実は企業と投資家の双方にメリットのあるのが株式分割です。
一例を挙げると、株式の価値が下がればより投資家たちにとって手の出しやすいものになりますし、それは企業の資本金の充実にもつながります。
現在の株式の購入単位は100株単位なので、1000円の株は最低購入代金が10万円ですが、500円の株だと5万円から購入できるわけなので、投資家はより少ない資金で企業の株を購入することが可能になります。
問題③
1 : 2の株式分割を行うA社株式の権利付相場が1000円であった。権利落後の値段が400円になったすると、権利付き相場に比べていくら値下がりしたことになるか?
1 40円
2 80円
3 100円
4 160円
5 200円
解説
正解:5
②本来の価格からの値下がり分=1000(権利付相場)-800=200円
権利付相場の問題では上記のような問題形式で出題される可能性が高いです。
ここの問題は解き方さえ分かれば非常に単純に答えを出せますね。
「1 : 2」というのは1株が2株に分割されたことを表します。1株が2株に分割されたということは、現在400円の株を2株持っているわけですね。
分かりやすく時系列的に解説すると、「権利付相場で1株1000円の株が存在する→値下がりする→権利落相場で2株400円(合計800円)になる」という流れで、この問題では「真ん中の値下がり額が何円か答えろ」ということが問われています。
本来1000円の株が800円分になるので200円のマイナスとなります。
自己資本利益率(ROE)
自己資本利益率とは、会社に投資した資金がどれほどの成果を上げているかを示すもので、比率が高ければ投資家に優良な企業だといえます。
問題④
以下の会社の決算期における自己資本利益率として正しいものを選びなさい。
総資本 | 自己資本 | 売上高 | 当期純利益 | |
前期 | 3,360 | 1,800 | 4,500 | 200 |
今期 | 3,240 | 2,200 | 4,200 | 400 |
1 5%
2 10%
3 15%
4 20%
5 25%
解説
正解:4
自己資本利益率=当期純利益(年間)÷自己資本(期中・期末平均)
自己資本=(2,200+1,800)÷2=2,000
400÷2,000=0.2=20%
自己資本利益率、つまり自己資本に対する利益の率ということで、公式を覚えなくても簡単に解けます。
自己資本を分母にとって、利益(当期純利益)を分子にとればいいだけです。
ただ注意が必要なのが、計算問題で自己資本が出てくる問題は期中と期末を平均しなければなりません。
外務員試験の中の計算問題には、このように言葉の意味から公式を判読できるものが多くあるので、自分なりの解き方を見つけておくと勉強時間を短縮できます。
まとめ
ここまでお疲れ様です。
今回は株式業務でしたが、外務員試験を勉強する人はここで躓く人も多いと思います。
個人的な感想ですが、理系の人は注文伝票や契約締結時交付書面での暗記部分で時間がかかり、権利付相場やROEでの計算部分は文系の人が苦手としている気がします。
どちらも難しいとは思いますが、解き方を知ってしまえば非常に簡単な問題なので、まずは問題を解いて苦手意識をなくすのが攻略法だと思います!
次回は引き続き株式業務での論点を解説していきますので、そちらもどうぞお読みいただければ幸いです!
*****次回*****