こんにちは、バニラアイスです。
前回に引き続き、外務員試験の5択問題対策【先物取引②】編となります。
今回の解説は、④売建の際の委託手数料、⑤先物取引での収益性計算、⑥証拠金計算の3点となります。
これら全て計算問題で、苦手な人も多くいらっしゃると思います。
ただ、どれも外務員として活動するためには重要な知識ばかりです。特に委託手数料や証拠金計算は出来なければ実務で困るものなので、外務員には正しい知識の理解が求められています。
しっかりと勉強をして就職後の業務に役に立つようにしておきましょう!
見出し
売建の際の委託手数料
問題④ 委託代金の計算方法
ある顧客が長期国債先物を101円で額面総額10億円売り建て、その後100円で買い戻した場合の顧客の受払代金として正しいものの番号を選びなさい。
なお、顧客との契約によって、片道での手数料は25,000円と決定されたものとする。また、手数料については消費税8%が必要とされる。
1 9,280,000円
2 9,424,000円
3 9,546,000円
4 9,640,000円
5 9,946,000円
解説
正解:5
利益=(101円-100円)×10億円/100円=1,000万円
手数料=25,000円×2(往復分)×1.08(消費税)=54,000円
受払代金=1,000万円-54,000円=9,946,000円
*****考え方*****
先物取引の範囲で出題される問題ですが、基本的には株式業務や債券業務で勉強した受渡代金の計算と同じです。
顧客がお金を支払う(損が出た)のか受け取る(利益が出た)のかを判断して、支払う場合には委託手数料を足して、受け取る場合には委託手数料を引きましょう。
この顧客は1口100円の国債を額面総額10億円分購入しているので、1,000万口売買したことが分かります。
そして101円で売っているので、101円-100円で差額が1円となり、合計1,000万円の利益を証券会社から受け取ることになります。
あとは受取代金の1,000万円から証券会社への委託手数料54,000円(売り買い往復分、消費税込み)を差し引いて、9,946,000円を顧客は入手できるという訳です。
代金を支払う場合は支払金額に委託手数料を上乗せした料金を渡し、代金を受け取る場合は受取金額から委託手数料を差し引いた残りをもらうということですね。
顧客に損が出るケースの問題はあまり出題されませんが、もし出たときのことも考えてしっかりと理解しておきましょう。
先物取引での収益性計算
問題⑤ 長期国債における現物と先物の収益性計算
現在、A氏は長期国債現物を額面10億円保有している。現在の長期国債現物の価格は102.00円であり、長期国債先物の価格は132.00円である。
1か月後に長期国債現物は値上がりして104.00円、長期国債先物は130.00円となった。しかし2か月後には長期国債現物は106.80円、長期国債先物は142.20円となった。この場合で、A氏が最も利益を上げる投資方法を記述している選択肢として正しいものの番号を選びなさい。
なお、手数料と税金は考慮しないものとする。
1 直ちに保有する長期国債現物を全額売却した。
2 直ちに保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を売り、2か月後に長期国債先物を全額買戻し、長期国債現物も全額売却した。
3 直ちに保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を買い、1か月後に長期国債先物を全額売り、長期国債現物も全額売却した。
4 1か月後に保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を買い、2か月後に長期国債先物を全額売り、長期国債現物も全額売却した。
5 1か月後に保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を売り、2か月後に長期国債先物を全額買戻し、長期国債現物も全額売却した。
解説
正解:4
☆長期国債額面10億円分について☆
国債の購入金額は1口100円なので、額面10億円分は「10億円÷100円=1,000万口」ということになります。
☆それぞれの選択肢における利益額について☆
「利益=(売値-買値)×取引数量」なので、長期国債現物・長期国債先物の売値・買値をそれぞれ求めていきます。
選択肢の中には「長期国債現物の売却金額」「長期国債先物の売却金額」「長期国債先物の購入金額」の3点が記載されているので、それを見つければOKです。
下の表は長期国債現物と長期国債先物の金額の推移です。この金額を基に選択肢を解いていきましょう。
現在 | 1か月後 | 2か月後 | |
長期国債現物 | 102.00円 | 104.00円 | 106.80円 |
長期国債先物 | 132.00円 | 130.00円 | 142.20円 |
1 直ちに保有する長期国債現物を全額売却した。
長期国債現物=(102.00円-102.00円)×1,000万口=0円
長期国債先物:取引が無いので0円
2 直ちに保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を売り、2か月後に長期国債先物を全額買戻し、長期国債現物も全額売却した。
長期国債現物の利益=(106.80円-102.00円)×1,000万口=+48,000,000円
長期国債先物の利益=(132.00円-142.20円)×1,000万口=▲102,000,000円
最終的な利益=48,000,000円-102,000,000円=▲54,000,000円
3 直ちに保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を買い、1か月後に長期国債先物を全額売り、長期国債現物も全額売却した。
長期国債現物の利益=(104.00円-102.00円)×1,000万口=+20,000,000円
長期国債先物の利益=(130.00円-132.00円)×1,000万口=▲20,000,000円
最終的な利益=20,000,000円-20,000,000円=0円
4 1か月後に保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を買い、2か月後に長期国債先物を全額売り、長期国債現物も全額売却した。
長期国債現物の利益=(106.80円-102.00円)×1,000万口=+48,000,000円
長期国債先物の利益=(142.20円-130.00円)×1,000万口=+122,000,000円
最終的な利益=48,000,000円+120,000,000円=168,000,000円
5 1か月後に保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を売り、2か月後に長期国債先物を全額買戻し、長期国債現物も全額売却した。
長期国債現物の利益=(106.80円-102.00円)×1,000万口=+48,000,000円
長期国債先物の利益=(130.00円-142.20円)×1,000万口=▲122,000,000円
最終的な利益=48,000,000円-122,000,000円=▲74,000,000円
*****考え方*****
この問題では、長期国債現物と長期国債先物の2つに分けて考えることが重要です。
一言で解説すると、それぞれを高いときに売って、安いときに買えばいいだけです。
☆長期国債現物☆
長期国債現物は現在保有しているので購入する必要はなく、あとは売ればいいだけです。
現在の売値は102.00円、1か月後は104.00円、2か月後は106.80円となります。なので2か月後に売却するのが最も儲かる方法となります。
利益=売値-買値なので、(106.80円-102.00円)×1,000万口=4,800万円です。
なお、長期国債現物の買値は現在の102.00円を用います。厳密に言えば102.00円は買値ではありませんが、今月に購入したものとみなして計算してください。
☆長期国債先物☆
長期国債先物は長期国債現物と違い、現在保有していないので購入する必要があります。
現在の売値は132.00円、1か月後は130.00円、2か月後は142.20円となります。なので選択肢4に出てくる一番安い1か月後に購入して、一番高い2か月後に売却するのが最も儲かる方法となります。
利益=売値-買値なので、(142.20円-130.00円)×1,000万口=12,200万円です。
なお、問題文で登場する「保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を買い」という文章は、長期国債先物を長期国債現物とまったく同じ量(額面総額10億円分、つまり1,000万口分)購入しましたよ、という意味となります。
「1か月後に保有する長期国債現物と同額の長期国債先物を買い」という文章なら、1か月後の長期国債先物130.00円を、長期国債現物と同じ量(1,000万口分)購入したということです。
証拠金計算
問題⑥ 評価損が出た場合の追加証拠金の計算
長期国債先物を100円で額面10億円分買い建てた。この場合の証拠金所要額は3,000万円と計算され、その全額を代用有価証券で差し入れたとする。
その後長期国債先物の清算値段が99,50円に下落し、代用有価証券にも250万円の評価損が発生した。この場合の追加で差し入れなければならない証拠金の所要額として正しいものの番号を選びなさい。
1 500万円
2 750万円
3 1,000万円
4 1,250万円
5 1,500万円
解説
正解:2
長期国債先物の損益額=(100円-99.50円)×1,000万口=500万円
代用有価証券の評価損=250万円
残っている証拠金の額=3,000万円-500万円-250万円=2,250万円
証拠金不足額=2,250万円-3,000万円=▲750万円(うち500万円は現金で差し入れ)
*****考え方*****
先物取引では、信用取引と同じで取引の大きさに応じて証拠金が必要となるケースがあります。
問題のように投資家が取引を行った結果損を出してしまう可能性もあり、発生した損失は投資家があらかじめ預けた証拠金を減少させることによって補われます。
その場合では、減少した証拠金は投資家自ら補填をしなければ取引を継続することは出来ません。
この問題は「損失を証拠金から補填した場合、投資家がいくら証拠金を追加で出せばいいのか?」ということを問うものとなっています。
とはいえ、やっていることは信用取引の科目の委託証拠金の計算と似ています。
始めに取引している国債の損益(500万円)を計算し、証拠金として差し入れた代用有価証券の評価損(250万円)と合算します。
その2つを合計した額が損失(750万円)となり、この金額を3,000万円の証拠金から補填しなければなりません。
すると証拠金の額は2,250万円に減少します。
しかし、取引を開始するには3,000万円の証拠金が必要なので、750万円ほど不足してしまうことになります。
なので投資家は追加で750万円を差し入れる必要があるという訳です。
なお、この先物取引の追加証拠金については、有価証券で代用できる部分と、現金でしか追加できない部分があります。
具体的には、
取引する株式や国債の損益=追加証拠金は現金のみ
代用有価証券の評価損=追加証拠金に代用有価証券を使用可
となります。
つまり代用有価証券の評価損(250万円分)の部分だけ、有価証券での追加証拠金の差し入れが認められるということです。
「証拠金に追加できる現金の額は幾らか?」という問題もあるので、できるだけ覚えておくようにしましょう。
まとめ
今回もお疲れさまでした!
今回の問題では「長期国債現物」や「長期国債先物」など、紛らわしい言葉がたくさん出てきて戸惑ったかと思います。
私も勉強をしている時には現物と先物がこんがらがって頭を抱えた記憶があります(笑)
ただ何度もお伝えしているように、名前は厳めしいですが、実際に解いてみるとなんて事のない問題が多数です!
堅苦しい名前を見て苦手意識を持たずに、何度も練習問題を解くようにしましょう!
次回は一種外務員の鬼門とも噂されている、オプション取引について解説を行っていきます。
どうぞそちらもよろしくお願いします!
*****次回*****