こんにちは、バニラアイスです。
今回は外務員試験の5択問題対策【証券税制】編です。
この範囲では主に株式や債券の売買に関係する税制度について学びます。難しい名前ですが、「投資をした際にかかる税金」や「株式や債券の取引の種類」などを学ぶ場所であると考えてください。
個人的な感想ですが、この証券税制の範囲は苦手な方が多いのではないでしょうか?
「税制」と名前がついているだけあって、難しい言葉で書かれてあって、暗記しなければならない箇所も多くあります。
事前にFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取得している方には呑み込みやすい内容ですが、初めて勉強する方は登場する言葉の難解さに四苦八苦すると思います。
この記事では試験に出るところだけ重点的に解説していくので、「量が多くて覚えきれない……」や「解き方が分からない……」ということをなくすことが出来るでしょう!
見出し
証券税制の出題範囲について(例題:4問、出題:1問)
〇×問題:12点 5択問題:10点
5択問題の予想出題範囲は以下の通りです。
①利子所得に入らない金融商品等の収益
②配当控除額の計算
③譲渡所得の計算
④有価証券の相続における評価額の算定方法
おおよそこのような出題範囲です。①が暗記問題で、②~④が計算問題となっています。
それぞれ計算方法などは違うので個別に覚える必要はありますが、一つひとつの計算はそんなに難しいものではありません。
「何を出すために、どんな過程で計算を行えばいいか」が理解できれば、スラスラと問題を解けるようになります!
記事では計算方法の解説だけでなく、「なぜこの計算になるのか?」ということも併せて解説を行っていくので、この解説さえ読み込めば正答率は格段に上がるはずですよ♪
利子所得に入らない金融商品等の収益
問題① 税法上の利子所得に含まれない金融商品等の収益
次の金融商品等の収益のうち、税法上の利子所得に含まれず、所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%の税率による源泉分離課税が適用されるものはどれか。
イ 抵当証券の利息
ロ 金貯蓄口座等の収益
ハ 為替予約されている外貨建定期預金の為替収益
ニ 相互掛金の給付補てん金
1 イ
2 ロ
3 ロ及びハ
4 イ、ハ及びニ
5 イ、ロ、ハ及びニの全て
解説
正解:5
イ、ハ、ニは雑所得に分類され、ロは譲渡所得もしくは雑所得に分類されます。
※「イ、ロ、ハ、ニの内から正しいものを全て選びなさい」という問題では、5番のすべてを選んでいる選択肢の正答率が極めて高いです。
*****考え方*****
証券税制の5択問題でポピュラーなものの1つが、この「利子所得に分類されないものを選べ」という問題形式です。
問題文だけを読むと「なんのこっちゃ??」となってしまいますが、考え方としては非常に簡単な問題です。
所得の種類には「①給与所得、②利子所得、③配当所得、④不動産所得、⑤譲渡所得、⑥退職所得、⑦事業所得、⑧配当所得、⑨一時所得、⑩雑所得」の合計10種類ありますが、この中から②の利子所得に該当しないものを選べばいいだけです。
イ、ハ、ニは⑩の雑所得に分類され、ロは譲渡所得か雑所得のどちらかに区分されています。どちらも利子所得ではないので正解の選択肢となります。
この問題のキモは、「利子所得に分類されないものをどうやって覚えるか」ですね。いくら考え方が分かっていても、選択肢の正否が分からなければ問題には正解できません。
ただ、試験を経験した私の感想としては、覚えなくても大丈夫です。理由は2つあります。
1つ目に、「イロハニから正解を全て選べ」形式の問題は全ての選択肢が正解である可能性が高いこと。
以前の5択問題対策でも記載しましたが、今回のような問題形式ではすべてを選んでいる5番の選択肢が殆ど正解です。
俗にいう「ボーナス問題」の扱いをされているのがこの問題ですね。
2つ目に、「利子所得に分類されない金融商品」がマイナーな部類である以上、聞いたことのない選択肢は大体正解になること。
通常の金融商品の税は、殆ど利子所得、配当所得、譲渡所得の3つに分類されます。大雑把ですが、債券の利子はだいたい利子所得、株式の配当はだいたい配当所得、両者の売買益はだいたい譲渡所得となります。
今回の問題のように、この通常に該当しない商品は雑所得などに分類されることになりますが、その場合は明らかに見たことのない商品が登場します。
例題だと「抵当証券の利息」「金貯蓄口座等の収益」などですね。外務員試験の勉強でも習いませんし、専門的に勉強されている方以外には耳慣れない言葉です。
なので、見慣れない金融商品の名前を選択すれば、殆ど正解になります。念のため利子所得に分類されない金融商品を記しておきますが、時間に余裕がある場合以外は覚えなくて構いません。
・利子所得に分類されない金融商品
① 抵当証券の利息
② 金貯蓄口座等の収益
③ 為替予約されている外貨建定期預金の為替収益
④ 相互掛金の給付補てん金
⑤ 定期積金の給付補てん金
⑥ 一時払養老保険及び一時払損害保険等(保険期間が5年以内、もしくは5年以下に解約したもの)
⑦ 懸賞金付公社債・公社債投資信託の受益権の懸賞金
⑧ 懸賞金付定期預金等の懸賞金品
配当控除額の計算
問題② 配当所得を含めて1,000万円を超過する場合
課税総所得金額が1,100万円、配当所得の金額が150万円であった場合の所得税及び住民税の配当控除の額として正しいものの番号を1つ選びなさい。
1 所得税の配当控除額:80,000円 住民税の配当控除額:24,000円
2 所得税の配当控除額:85,000円 住民税の配当控除額:25,000円
3 所得税の配当控除額:90,000円 住民税の配当控除額:26,000円
4 所得税の配当控除額:95,000円 住民税の配当控除額:27,000円
5 所得税の配当控除額:100,000円 住民税の配当控除額:28,000円
解説
正解:5
所得税の配当控除額:100,000円
住民税の配当控除額:28,000円
*****計算方法*****
・配当控除率について
課税金額が1,000万円以下の部分=所得税10%、住民税2.8%
課税金額が1,000万円を超える部分=所得税5%、住民税1.4%
課税総所得金額(配当所得含む)が1,100万円、配当所得が150万円。
配当所得のうち、1,000万円以下の部分が50万円で、1,000万円を超える部分が100万円。
所得税の配当控除額(1,000万円以上の部分は5%、以下は10%)
(100万円×5%)+(50万円×10%)=100,000円
住民税の配当控除額(1,000万円以上の部分は1.4%、以下は2.8%)
(100万円×1.4%)+(50万円×2.8%)=28,000円
*****考え方*****
この配当控除額の計算問題には、おおよそ3つのパターンがあります。課税総所得金額の大きさに応じて税率が変わるので、それに対応できるかが焦点になります。
問題の形式は、①課税総所得金額が1,000万円を超えない場合、②課税総所得金額が1,000万円を超える場合、③配当所得を含めて課税総所得金額が1,000万円を超える場合、の3点です。
しかし、実際のテストでは一番計算の難易度が高い③の形式でしか出題されることはないので、そちらだけ覚えておけば十分です。
この問題の意義を簡単に解説すると、配当所得のうち控除される金額を求めよということです。
問題文に出てくる課税総所得金額とは、給与所得とか利子所得、配当所得等を合算したもので、その人の「総所得」とでも覚えておいてください。そして、その金額が1,000万円を超えているか超えていないかで、配当控除の計算式が変わります。
今回だと課税総所得金額が1,100万円で、そのなかに含まれる配当所得の金額が150万円です。1,100万円-150万円で、配当所得以外の所得が950万円となります。
なので課税総所得金額のうち、配当所得が1,000万円を超えていない部分は50万円で、超えている部分が100万円と分かりますね。
あとは50万円の配当控除額と100万円の配当控除額をそれぞれ個別に計算すればOKです。
譲渡所得の計算
問題① 株式売買に係る所得税等の計算
ある個人がA社株式を令和元年6月中に5,000株購入し、同年7月に全て売却を行った。この売却により譲渡所得として所得税・復興特別所得税及び住民税に課税される額の合計を計算し、正しいものの番号を選びなさい。なお、売買に当たっては手数料は発生しなかったものとする。
取引年月日 | 売買の別 | 単価 | 数量 |
令和元年6月3日 | 買い | 500円 | 2,000株 |
令和元年6月21日 | 買い | 480円 | 3,000株 |
令和元年7月15日 | 売り | 550円 | 5,000株 |
1 0円
2 23,415円
3 42,798円
4 62,976円
5 83,716円
解説
正解:4
*****計算方法*****
課税金額={収入金額-(取得費用+譲渡費用)}×20.315%
収入金額:550円×5,000株=2,750,000円
取得費用:(500円×2,000株)+(480円×3,000株)=2,440,000円
譲渡費用:なし(手数料はないため)
課税金額:(2,750,000円-2,440,000円)×20.315%=62976.5円
*****考え方*****
譲渡所得の課税金額についての計算です。
この問題では、①譲渡所得の税率、②課税金額の計算式を覚えることが重要となります。
まず譲渡所得の税率ですが、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の、合計20.315%となります。譲渡所得で儲けたお金のうち、原則として20.315%を税金として納めなければならないという訳ですね。
これは譲渡所得だけではなく、利子所得、配当所得なども同じ20.315%の税率となります。この数字は大切なのでしっかりと覚えておきましょう!
そして次に課税金額の計算式ですが、単純に「収入-費用」とでの覚えておけば大丈夫です。
譲渡所得は株式の売買などで得た儲けに対して課税されるものなので、株を売った時のお金から、株を買ったときのお金と手数料を引けば儲けの部分が出ます。
今回の問題だと、5000株@550円が収入で、2000株@500円と3000株@480円が費用となりますね。
取得原価を引かずに計算をするととんでもない量のお金を納めることになるので、必ず儲けの部分に掛かる税だと理解しておいてください!
有価証券の相続における評価額の算定方法
問題④ 上場株式の相続税の評価額について
上場銘柄であるA社株式の1株当たりの7月31日の終値と直近3か月の最終価額の月平均額が以下のとおりである場合、当該株式の1株当たりの相続税の評価額として正しいものの選択肢を選びなさい。なお、当該株式の課税時期は7月30日である。
1 7月31日の終値 1,410円
2 7月中の終値平均株価 1,480円
3 6月中の終値平均株価 1,460円
4 5月中の終値平均株価 1,400円
5 4月中の終値平均株価 1,380円
解説
正解:4
*****考え方*****
この問題を簡単に解説すると、相続税で取得する株式の評価額をいくらにするのかという問題です。
株式を相続する場合、もちろん現金や建物と同じように相続税がかかるのですが、株式の価値は毎日変わっていて何円分の株を相続するのか分かりませんよね。
そこで相続する株式の単価を決めるのが今回の問題という訳です。評価額の決定方法は以下の通りです。
相続によって取得する株式の相続税における評価額は、課税時期(相続があった日)の最終価格となるが、その最終価格が属する月以前3か月間の最終価額の月平均額(終値平均株価)のうち最も低い金額を評価額とする。
かみ砕いて言うと、課税する日(問題だと7月31日)が属する月を含めて過去3か月間の終値平均株価のうち、最も安い金額を評価額とするということです。
「属する月を含めて」なので例題の4月は対象とならない点にだけは注意しましょう。おそらく試験でも引っ掛けの選択肢として登場します。
ちなみにこの最も安い評価額で課税がされる制度は、納税者からすると「評価額が安い=税金も安くなる」なので、国民の負担を減らす良い制度だと言うことが出来ますね。
まとめ
今回もお疲れまさでした!
証券税制は不得意とされている方が多いので、少しでも苦手意識を克服できる記事になっていれば幸いです。
次回は先物取引の5択問題について解説を行っていくので、そちらもご覧いただければ嬉しいです。
*****次回*****