【体験談】応用情報は意味ない?実際に取得して感じたメリットを解説!

資格
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応用情報(正式名称:応用情報処理技術者試験)は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機)が実施するIT系の国家試験です。

情報処理技術者試験の試験区分によると応用情報はレベル1~4のうち「レベル3」に該当する資格で、同じIT系の資格である「ITパスポート(レベル1)」や「基本情報処理技術者試験(レベル2)」に比べると難易度が高い資格試験となっています。

ただ、そうした応用情報ではしばしば「応用情報は実務で役に立たないので取得しても意味が無い」などの話がネットで見かけることがあります。

今回の記事では、そうした応用情報について実際に受験・合格した視点から「本当に応用情報には意味が無いのか?」について説明させていただきます。

【この記事を書いた人】
■現役システムエンジニア
■ユーザー企業の「情報システム部」で勤務
■記事執筆時点で「応用情報」「情報処理安全確保支援士」に合格済み

【結論】応用情報の取得は意味がある

最初に結論から書かせていただきますが、実際に応用情報を受験して合格した身からすると、応用情報の学習を行うことはIT関連の仕事をするうえで非常に役に立ちました

インターネットではよく「応用情報はとっても意味が無いから受験するだけ時間の無駄」などと言われているのを目にしますが、中には応用情報を取得していないのに無意味と言っていることもあるので、信頼できる情報かどうか見極めることも大切です。

実際に応用情報を取得して感じたメリット

応用情報のメリットについて詳しくは後述しますが、特に一番効果を実感したものとしては「自分の専門外の知識(弱点)をある程度補完することが出来た」ことだと思います。

応用情報の試験ではセキュリティ・ネットワーク・データベースなど様々な分野の内容が”広く浅く”登場します。自分が専門としている分野なら軽く勉強するだけで大丈夫でしたが、普段業務で関わっていない部分についてはかなりがっつり勉強しなければならず、自身の弱点となる分野を学べるいい機会でした。

特にIT関連の業務は分野が多岐に渡るため、例えば「プログラマにネットワークのことを聞いても分からない」などの問題が起きてしまいがちです。そのため、応用情報などの資格を受験することで自分の苦手分野の知識を習得することが大切と言えます。

資格は無いよりあった方が良い

当然のことですが、資格は無いよりはあった方が良いです。

実際に転職や昇進等がかかった場が来たとして、少なくとも「応用情報の資格があることがマイナスに働く」ということはまずありません。

基本的にIT業界は「実務経験>資格」となることが多いですが、とはいえ「この人は資格を持っていないからスキルが心配…」となることはありますが「この人は資格を持っているから不合格」ということは起こりません。

よくインターネットでは「応用情報を取っても業務に役に立つわけじゃないから要らない」という意見を見かけますが、IT関連の仕事をしていれば応用情報が全く役に立たないというのはあり得ないですし、その場合は役に立っていると気づいていないだけです。

応用情報を取得するメリット5選

アイデア

上記でも少し触れましたが、ここからは「応用情報を取得するメリット」について解説していきます。

メリット① 幅広い分野の知識が習得できる

個人的に、応用情報を受験する最大のメリットが「幅広い分野を網羅的に学習することが出来る」ことだと思います。

応用情報では「セキュリティ・ネットワーク・データベース・システム開発…」など、IT業界で必要な知識が満遍なく学習することが出来ます。

難易度的には”広く浅く”といった程度で、一つひとつの内容についてそこまで深いことは聞かれません。ただ幅広い分野で満遍なく出題されるので、ITエンジニアとして必要な知識全般を習得することが可能です。

特にIT業界では「プログラマ」や「ネットワークエンジニア」「データベースエンジニア」等の特定分野に偏ったスキルになることが多く、業務をこなしているだけだと担当外の分野の話になったときに用語すら分からなくて困ってしまいます。

そのため、応用情報などの資格の勉強を通して、自分の専門分野でない領域に対しても最低限の知識を身に着けておくことがITエンジニアとしては重要です。

バニラ
バニラ

このあたりは経験がある人も多いと思いますが、専門外の領域の話を聞くとき「そもそも相手が話している用語すら分からない」というようなこともありがちですが、応用情報を勉強していれば最低限相手が何について話しているかを理解できます。

メリット② 自身のスキルを客観的に判断・証明できる

応用情報を受験することで「自身の現在のスキルや知識を客観的に判断・証明することができる」というメリットもあります。

特にIT業界では業務によって必要とされるスキルが大きく違うこともあり、普通に働いているだけだと「自身のITスキルが世間一般から見てどの程度なのか?」ということを測るのが非常に難しいです。

例えば僕は会社の情報システム部に該当する部署で働いていますが、同じ部署の人間でもそれぞれ担当している業務が大きく違うため、社内を見ても自分のスキルがどのくらいなのかを測ることが出来ません。

ただ、応用情報という”ものさし”を使うことで「応用情報に合格できる知識やスキルはある」ということが証明できるため、応用情報の受験を通して自身の市場価値を測ることが可能です。

バニラ
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特にITエンジニアはスキルを客観的に測ることが難しいので、応用情報など自身のスキルを測れる機会は非常に重要です。

メリット③ 転職や昇進に役に立つ

応用情報は情報処理技術者試験の「レベル3」とある程度実務経験を積んだエンジニア向けの難易度が高い資格ということもあり、転職や昇進の際に役に立つことも多いです。

応用情報をどのように評価するかは企業によってまちまちですが、もし面接で応用情報を持った人が来たのであれば、僕なら「最低限の知識はあって努力が出来る人」と捉えます。

また、IT企業では応用情報の取得が昇格・昇進要件になっていることもあります。このあたりは会社によって制度がまちまちですが、大手SIerなどは比較的資格が昇進要件になっている会社も多いです。

また、IT資格の転職・昇格での有用性を調べる日経XTECのIT資格実態調査では、応用情報は役に立つIT関連の資格ランキング1位となっており、非常に人気の高いIT資格だということが分かります。

バニラ
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先述したようにITエンジニアは「スキルを他人が測定すること」が非常に難しいので、分かりやすい「資格試験の合否」が昇進や転職の際の判断材料になることも多いです。

メリット④ 会社から手当や報奨金がある場合も多い

応用情報は国家試験ということもありIT関連の資格の中でもかなりメジャーなので、会社によっては手当や報奨金が出ることもあります。

相場としては、手当の場合は5,000~20,000円/月報奨金の場合は50,000~200,000円程度であることが多いです。

試験に受かって合格するまでには非常に苦労しますが、応用情報であれば数か月程度で合格できる人もおり、資格手当が存在する会社なら短期間で収入UPを狙うことも可能です。

手当や報奨金があるかどうかは会社によりますが、IT企業ではこうした手当や報奨金がある場合が多いです。

メリット⑤ 合格すれば高度区分の一部科目が免除になる

情報処理技術者試験のレベル4にあたる各種スペシャリスト試験(ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリスト等)には、応用情報に合格していれば一定期間「午前1」の試験が免除になるという制度が存在しています。

もともと高度区分の「午前1」の試験では、同日に開催される応用情報の試験の午前問題がそのまま使用されます。

そのため高度区分の試験を受ける場合、本来であれば受験する高度区分の試験の学習+応用情報の午前問題の学習を行わなければならないため、勉強範囲が非常に広くなり対策が困難です。

ただ、応用情報を合格していれば午前1をスキップして以降の試験を受けることが出来るため、高度区分の一部科目免除を目的に応用情報を受ける人も存在しています。

バニラ
バニラ

僕も元々高度区分を目指していましたが、試験免除を目的に応用情報を受験しました!

なぜ「応用情報は取得しても意味が無い」と言われるのか?

上記で説明したように、応用情報の資格を取得することは様々なメリットがあります。

ただ、インターネットを見ていると「応用情報は取得しても意味が無い」という書き込みを見ることが多いのも事実ではあります。

ここからは「なぜ応用情報は取得しても意味が無いと言われがちなのか?」について解説を行っていきます。

理由① 合格してもすぐに業務で役に立つ内容では無いため

応用情報の試験では下位試験のITパスポートや基本情報に比べると高度な内容が問われますが、基本的な受験者像としては「スペシャリスト」ではなく「ゼネラリスト」向けの資格となります。

上位資格であるレベル4の「情報処理安全確保支援士」や「ネットワークスペシャリスト」「データベーススペシャリスト」などと比べると各分野で問われる内容も表面的なものが多く、そこまで突っ込んだ内容を聞かれることはありません。

IPAのサイトに記載されている通り、応用情報の対象像は「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」とあり、いわば「これからスペシャリストの進む人」です。

応用情報に合格できたからと言って特定の分野で優れたスキルがあることを証明したり、特定の業務ですぐさま役に立ったりすることは少ないため、それを理由に「業務で役に立たないから取得するだけ無駄」と言われることがあります。

バニラ
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ただ、僕個人の感想としては「応用情報は各スペシャリスト試験に進む前の最後の基礎固め」という試験だと認識しているので、土台を作るための試験で専門性が無いから役に立たないというのは見当違いだと思っています。

理由② 合格できない|受験できない人が多いため

2つ目の理由としては、応用情報の試験は「合格できない or 受験できない人」が非常に多いため「合格しても意味が無い」という声が大きくなるということです。

前者の合格できない人については言葉通りで、応用情報の合格率は20%程度です。これだけでも5人に1人しか受からないので難易度は高めと言えますが、加えて応用情報の受験者の中には基本情報を突破している人も多くいるため、単純な数字以上に合格率は高いです。

また、後者の受験できない人については、IT関連の仕事をしているとよくあることですが「業務が忙しくて試験を受けられない」「受験日にシステムのトラブル等が急に起きて試験に行けなくなった」などの事態が起こりがちです。

特に後者の事情から、応用情報は「試験会場に行けない人がいるから合格率が低い」などと言われることも多いですが、これは間違いです。応用情報の合格率の計算には「合格者数 / 実際に試験会場で受験した人」なので、試験放棄した人は合格率の計算には入っていません。

上記のように応用情報に受かっていない人も数多くおり、そうした人が「応用情報は受けるだけ無駄」と言っているケースもあります。

バニラ
バニラ

応用情報の批評をしているサイトはたくさんありますが、そうした記事を見るときは「書いている人が本当に応用情報を持っているのか?」を確認するのが大切です。

理由③ 取得に時間が掛かるため

一般的に言われている応用情報の学習時間としては「未経験:500時間」「経験者:300時間」程度で、取得するのに長い時間が掛かるため意味が無いと言われることもあります。

応用情報の受験者の大半は既に働いている社会人なので、仮に1日2時間勉強を続けた場合、合格までおよそ5~8ヶ月程度かかることになります。

また、先述したとおり応用情報は実務ですぐに使えるような内容の資格では無いため、コストパフォーマンスの観点から「長い時間をかけて学ぶには割りに合わない」と考える人も少なくないと言えます。

バニラ
バニラ

ただ、本来資格試験は「自分の知識やスキルを高めるもの」なので、コストパフォーマンスだけで語るのは少し違うかなと思います。

理由④ 非IT業界での知名度が低すぎるため

応用情報は難易度のわりに一般的な知名度がそれほど高くないため、そのあたりが「無意味」と言われる理由の一つでもあります。

そのため、せっかく応用情報の資格を取得しても同じIT業界の人にしか通じないことも多く、もし非IT業界の人に「応用情報を取得した」といっても「なにそれ?」と返されることが殆どです。

IT企業で働いている人なら資格取得が評価されることも多いですが、非ITの会社であれば折角資格を取得しても評価されないことも往々にしてあります。

このように、非IT企業なら「応用情報を取得しても誰からも評価されない」ということもあるため、そのあたりが「応用情報は意味ない」と言われる原因の一つです。

バニラ
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これは僕も体験したことですが、非IT企業では応用情報を取得しても多分評価は上がらないです。

理由⑤ 人によっては基本情報よりも難易度が易しいため

インターネットの掲示板などでよく見るのが「応用情報よりも基本情報の方が難しいから取る意味は無い」という意見です。

一般的に考えると「CBT方式でいつでも受験可能&すべて選択形式の基本情報」に比べて「年2回の筆記試験で記述式もある応用情報」のほうが難しいですが、基本情報では必須のプログラミングを応用情報では回避できるため人によっては応用情報の方が難易度が低い場合もあると言えます。

ただ、合格率で見ると基本情報は約40%応用情報は約20%と、およそ倍程度の差が開いています。

更に「応用情報の受験者は基本情報を合格している人も多いため受験者の平均レベルも高い」ということを考えれば、大多数の人にとっては応用情報の方が難しいと考えられます。

バニラ
バニラ

この話題はネットでも良く議論されていますが、合格率や試験形式などを見ると応用情報の方が難しいと言えます。

理由⑥ 独占業務が無いため

応用情報には独占業務が無いため取得が無駄だと言われることもあります。

独占業務とは「その資格を持っていないと業務が行えないもの」を指し、有名な資格だと弁護士や税理士などが存在します。

ただ、そもそもIT関連の資格には独占業務があるものは1つも存在しないですし、IT関連以外で有名な資格であるTOEICや簿記も独占業務は無いですが就職や転職の場で高く評価されています。

そのため、独占業務の有無のみで「資格を取る意味があるかどうか?」を決めるのはおすすめできません。

バニラ
バニラ

こちらもネットの掲示板で良く見かける内容ですが、そもそもこうした資格は自己研鑽のために受けるものなので、独占業務がないから無駄と言うのは少し筋違いのように思えますね。

応用情報を取得した方が良い人

証券外務員

ここまでで「応用情報を取得するメリット」と「なぜ応用情報は取得して無駄と言われているのか?」については分かっていただけたと思います。

応用情報はIT業界で働く人なら取って損は無い資格ですが、業務内容によっては応用情報を取得しても効果があまりない人も存在するはずです。

そのため、ここからは「応用情報はどのような人が取るべきなのか?」ということについて説明していきます。

① ITの上流工程に関わる人

まず応用情報を取得するべき人として「ITの上流工程に携わる人」です。

IT業界では「プロジェクトの要件定義や設計を行う”上流工程”」と「実際にシステムの構築を行う”下流工程”」の2種類がありますが、応用情報は上流工程の人を想定した資格です。

応用情報の下位資格である基本情報はプログラミングやアルゴリズムの比重が高く下流工程向けの試験で、対して応用情報はシステム設計やマネジメントの比重高いため上流工程向けの試験となっています。

そのため、IT業界の上流工程で働く人や、上流業界を目指している人には応用情報は非常におススメの資格です。

② キャリアップを考えている人

応用情報はIT業界でのキャリアアップを考えている人にもおすすめです。

理由としては、先述しましたが「ITスキルは他人が客観的に評価しにくい」「昇進・昇格要件に応用情報の取得が設定されていることも多い」という観点からです。

前者についてはITスキルは他社が客観的に評価しにくいので応用情報のような難関資格に合格していれば昇進の際に評価しやすいという理由で、後者については実際に昇進・昇格要件に応用情報の取得が条件となっていることも多いためです。

これらの理由から、IT業界でのキャリアアップを検討している人が応用情報を取得するメリットは大きいと言えます。

③ 自分の客観的なITスキルを証明したい人

応用情報は「自身のITスキルを客観的に評価・証明したい」と言う方にもおすすめです。

ITエンジニアのスキルは非常に多岐に渡るため他社との評価もしにくく、自分がどのくらいの知識を保有しているか自身で判断することは非常に難しいです。

そのため、自身のITスキルを評価・証明したい場合は応用情報のような資格を受験することがおすすめです。応用情報に合格することが出来ればITエンジニアとして一定のスキルがあることを証明できるでしょう。

まとめ:応用情報は意味ない?実際に取得して感じたメリットを解説!

この記事では、IPAの応用情報実際に取得して感じたメリットについて紹介させていただきました。

応用情報を取得することで「自分の専門分野でない領域についても学べる」「自身のITスキルを客観的に証明できる」「昇進・転職などに役に立つ」など様々なメリットがあります。

ネットでは「応用情報は○○だから取得しても意味が無い」と言われることが多いですが、ITエンジニアであれば応用情報を取得するメリットは非常に大きいです。

もし「応用情報を受験しようと思っているけど、ネットの評判を見て迷っている…」と言う方は、ネットで書かれていることは気にせず挑戦してみることをおすすめします!

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