こんにちは、バニラアイスです。
さて、長かった外務員試験の5択問題対策も今回で大詰めです。
この記事で解説をするのは【特定店頭デリバティブ取引等】となり、【先物取引】や【オプション取引】と並んで外務員一種でのみ学習する範囲となります。
二種では勉強しない分野というだけあって、その難しさから苦手意識を持たれている方も多いのではないでしょうか?
ただ、実務を行う上で重要な観点も登場するので、十分に理解をしておきたい分野でもあります。
金融のことを初めて学ぶ方にも分かりやすく解説を行っていくので、しっかりと学習をして仕事にも生かせるようにしましょう♪
見出し
特定店頭デリバティブ取引等の出題範囲について(例題:5問 出題:2問)
〇×問題:10点 5択問題:20点
特定店頭デリバティブ取引等の予想出題範囲は以下の通りになります。
①スワップ取引
②店頭デリバティブでのリスクの種類
③金利デリバティブの説明
④クレジット・デリバティブの説明
⑤天候デリバティブの補償金計算
特定店頭デリバティブという名前だけあり、出題される問題はデリバティブに関するものが大半です。
まず、店頭デリバティブを大別すると以下の6通りに分類されます。
①エクイティ・デリバティブ
②クレジット・デリバティブ
③金利デリバティブ
④コモディティ・デリバティブ
⑤為替デリバティブ
⑥天候デリバティブ、災害デリバティブ
この内5択問題で出題されるのは③、⑤、⑥のみで、その他は出題されたケースは殆どありません。
〇×問題では出題される可能性はありますが、仮に出たとしても2点~6点程度です。
受験までに時間がないということであれば、③、⑤、⑥以外は無視されても問題ありません。
試験日までの残り時間と相談して決めるようにしましょう。
スワップ取引
問題① LIBORでの受払い金額の計算
前回リセットされたユーロ円6M LIBORが1.2%(Act/360)であり、前回から次の支払日までの実日数が252日であったとする。この時の借入金額が1億円だったとすると、受原金額はいくらになるか。正しいものの番号を選びなさい。
1 840,000円
2 960,000円
3 1,120,000円
4 1,260,000円
5 1,360,000円
解答
正解:1
受払金額=1億円×1.2%×252日/360日=840,000円
*****考え方*****
LIBORとは・・・(London Inter-Bank Offered Rate)とは、ざっくりいうと「ロンドンにおける銀行間の短期金利のこと」です。
また、問題文の6M LIBORとは、6か月(6 Month)を指します。1.2%(Act/360)までを考えると、ロンドンにおける6か月の銀行間の短期金利が、年率1.2%であるということを表しています。
そして、この問題で求めるものは、「そのLIBORの短期金利がいくらになったのか?」ということです。
こちらがお金を借りたのであれば利子を支払わなければなりませんし、反対に貸したのであれば利息を受け取ることができ、その金額を計算するのがこの問題となります。
問題文では「借入金額」と記載があるので、こちらが利子を支払わなければならない立場だということが分かります。
とはいえ、具体的な計算方法はさほど難しくありません。
額面金額に年利率を掛けて、それを日数分に換算すればよいだけです。
計算式としては「受払金額=1億円×1.2%×252日/360日=840,000円」となります。
登場する数字は全て問題文の中に出ているので、解くこと自体は非常に簡単です。急ぎすぎてうっかりミスをしないことだけに気を付けて問題を解きましょう。
店頭デリバティブでのリスクの種類
問題② 店頭デリバティブの主なリスク
次の文章中の①、②、③に当てはまる語句の組み合わせとして正しいものの番号を選びなさい。
店頭デリバティブにおいて特に重要視されているリスクには、( ① )、( ② )、( ③ )の3種類がある。( ① )とは、市場価格、金利、為替レートといった予見が困難もしくは、確率的に変動するリスクを言う。( ② )とは信用力の予期しない変化に関連する、価格が確率的に変動するリスクを言う。( ③ )はポジションを解消する際、十分な出来高がなく取引できないリスクを言う。
1 ①信用リスク、②市場リスク、③流動性リスク
2 ①信用リスク、②流動性リスク、③市場リスク
3 ①流動性リスク、②市場リスク、③信用リスク
4 ①市場リスク、②信用リスク、③流動性リスク
5 ①市場リスク、②流動性リスク、③信用リスク
解答
正解:4
①市場リスク、②信用リスク、③流動性リスク
*****考え方*****
店頭デリバティブのリスクは6つに分類され、以下のようになります。
市場リスク | 市場価格、金利、為替レートといった予見が困難もしくは、確率的に変動するリスク |
信用リスク | 信用力の予期しない変化に関連する、価格が確率的に変動するリスク |
流動性リスク | ポジションを解消する際、十分な出来高がなく取引できないリスク |
オペレーショナルリスク | 犯罪、システムトラブル、トレーディングミスなどのリスク |
システミックリスク | マーケット全体の流動性の崩壊や、金融機関の連鎖倒産などのリスク |
複雑性リスク | 時価評価でのモデル・リスク、パラメータ・リスク、規制や制度変更対応のリスク |
この表のうち重要なのは上の3つのみです。市場リスク、信用リスク、流動性リスク以外が試験に出ることは滅多にありません。
もし出題されるなら右側の説明文もそっくり問題文に記載されてあると思うので、説明文にある「市場価格→市場リスク」「信用力→信用リスク」など、対応する語句を当てはめていけば覚えなくても解くことが出来ます。
金利デリバティブの説明
問題③ 金利スワップについて
次の文章中の①、②、③に当てはまる語句の組み合わせとして正しいものの番号を選びなさい。
「金利スワップ」とは、取引者Aと取引者Bが、( ① )で変動金利と固定金利、変動金利と異種の変動金利、固定金利もしくは変動金利と一種のインデックスを交換する取引であり、元本の交換は( ② )。取引の主流は、固定金利とロンドンにおける銀行間貸出金利の( ③ )となっている。
1 ①同一通貨間、②行われる、③LIBOR
2 ①同一通貨間、②行われる、③TIBOR
3 ①同一通貨間、②行われない、③LIBOR
4 ①異なる通貨間、②行われる、③LIBOR
5 ①異なる通貨間、②行われない、③TIBOR
解答
正解:3
①同一通貨間、②行われる、③LIBOR
*****考え方*****
金利スワップを非常に簡単に説明すると、「金利を交換するもの」です。
その中でも最も典型的なものが、変動金利と固定金利を交換するものです。
お金を貸し借りした場合、金利を変動金利にするか、固定金利にするかで利子や利息の量が大きく変わる場合があります。
例えばお金を借りている場合を考えてみましょう。これから先、金利が上昇すると予想したとき、借りている側の人にとって有利なのが「固定金利」になります。
金利が上がり続けているなか、安かった時のままの金利で支払を続けることが出来るのでお得ですね。反対にもし金利が下がったときに得をするのは、当初よりも金利が安くなる変動金利で契約をした人となります。
なので、金利が上がると考えている人は固定金利お金を借りたがり、反対に金利が下がると考えている人は変動金利で借りたがります。
こうして、将来の金利の動きをどう予想するかによって、固定金利か変動金利の良し悪しが変わります。
ただ、変動金利か固定金利かを選べないケースも多くあり、そんな時に使うのが金利スワップです。
変動金利で契約をしているAさんと、固定金利で契約をしているBさんがいた場合、Aさんの変動金利をBさんが払い、Bさんの固定金利をAさんが払うようになります。
テキストなどの説明を見るとややこしく感じますが、やっていることは「Aさんの金利をBさんが払い、Bさんの金利をAさんが払う」というだけです。
金利スワップでの注意点として、あくまで同一通貨間で行われ、元本自体の交換は行われないということです。
異なる通貨間や、元本の交換まで行ってしまったら「金利」スワップにならないですね。
あくまで、「金利」のみを交換するものだと覚えておきましょう。
クレジット・デリバティブの説明
問題④
クレジット・デフォルト・スワップとは、( ① )が発生したとき、ペイ オフが発生するデリバティブをいう。つまり、プロテクション・バイヤー(信用リスクを( ② ))がプロテクション・セラーに固定金利(「プレミアム」又は「保険料」)を支払い、その見返りとして、契約期間中に参照企業に( ① )が発生した場合に、損失に相当する金額を、売り手から受け取る取引のことである。個別の債券がデフォルトしたとき、その債券が売り手に引き渡されるか、あるいは( ③ )が行われる。
1 ①プロテクション、②ヘッジする側、③現物決済
2 ①プロテクション、②取る側、③現物決済
3 ①プロテクション、②取る側、③差金決済
4 ①クレジット・イベント、②ヘッジする側、③差金決済
5 ①クレジット・イベント、②ヘッジする側、③現物決済
解答
正解:4
①クレジット・イベント、②ヘッジする側、③差金決済
*****考え方*****
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)とはクレジット・イベント(信用事由)が発生したときに補償金を受けられる制度のことです。
信用事由とは、支払不履行や倒産など、債務の履行に関して支障をきたす恐れのある問題が生じることを言います。
ざっくりと説明すると、支払い不履行や倒産によってお金が支払われなかった際に保証が付く、一種の保険のようなデリバティブのことです。
なお、プロテクション・バイヤーという言葉は、そのままの意味(プロテクションの買い手)です。
信用リスクをヘッジするために、プロテクション・セラー(プロテクションの売り手)に対して定期的にお金を支払い、信用リスクが発生したときに補償金を貰うわけです。
通常の保険に例えると、バイヤーが加入者、セラーが各々の保険会社と言うことが出来ます。
ちなみに選択肢に「現物決済」と「差金決済」の2種類が登場していますが、CDSの決済方法では両方とも可能です。
問題文の「その債券が売り手に引き渡されるか」という文章が「現物決済」を表しているので、その次に入るのが「差金決済」となります。
天候デリバティブの補償金計算
問題⑤ 降雨日数の天候デリバティブ
次の文章において、①降雨日数が5日の場合、②降雨日数が18日の場合の、それぞれの補償金受取金額について正しいものの番号を選びなさい。
降雨によって来客数が減少する恐れのあるデパートが、以下のような条件で天候デリバティブを結んだ。
[契約内容]
契約目的:降雨日数が多くなった場合の売上が減少するリスクのヘッジ
観測期間:5月1日~6月31日(2か月間)
観測対象日:観測期間中の土曜日、日曜日、祝日(合計21日)
観測指標:降雨量(対象日のうち、20mm以上の降雨があった日数。以下、降雨日数)
ストライク値:7日
補償金額:1日当たり100万円
補償金受取総額上限:1,000万円
ペイオフ:降雨日数がストライク値を上回る場合に、「(降雨日数-ストライク値)×保証金額」を、補償金受取総額上限を限度に支払う。降雨日数がストライク値に等しいか、それを下回る場合には支払金額は0である。
1 ①0円、②1,000万円
2 ①0円、②1,100万円
3 ①0円、②1,800万円
4 ①200万円、②1,000万円
5 ①200万円、②1,800万円
解答
正解:1
①降雨日数がストライク値を超えていないので0円
②(18日-7日)×保証金額=1,100万円
※補償金受取総額上限を超えているので、1,000万円に調整される。
*****考え方*****
計算に必要なことは全て問題文の中に記載されているので、ミスがなければ正解できる問題です。
考え方としては、ストライク値を中心に問題を捉えると分かりやすいです。
降雨日数がストライク値を上回れば補償金が支払われ、反対に下回れば補償金は支払われません。
ストライク値は、「月の平均降雨日数」と考えるといいでしょう。
月の平均降雨日数を超えた分だけ補償金が支払われ、超えなかった場合は支払いが行われることはないという訳ですね。
ペイオフの注意点として、①ストライク値を下回る日数では補償金は支払われない、②補償金には受取の上限金額がある、という2点は重要なので押さえておきましょう。
まとめ
今回もお疲れさまでした。
外務員試験の5択問題対策はこの記事で最後になります。ここまで長い間、大変お疲れさまでした。
これから外務員試験を受験する方にとって、この記事が合格の一助になれたら幸いです。
陰ながらとなりますが、皆様が無事に合格されるように祈っております!