パソコンやスマートフォンでインターネットを閲覧したことがある方なら一度は「IPアドレスから利用者の位置情報を特定される」というようなお話を耳にしたことのあるのではないでしょうか。
実はこの話、少し誇張が混じっていることも多いですが、IPアドレスから位置情報を特定できるというのは本当のことです。
上記の仕組みには「IPジオロケーション(Geolpcation)」と呼ばれるIPアドレスから位置情報を取得するための技術が使われており、インターネットに接続しているスマートフォンやパソコンが使用しているIPアドレスから現在の大まかな地域を特定することが可能です。
例えば「このアクセスは日本の関東から」ということや「このアクセスはアメリカのカリフォルニアから」などといった情報が分かるので、WEBサイトに訪問したユーザーの地域を分析したり、特定の地域からしかアクセスできないように制限を掛けたりする等で活用されています。
この記事ではそうした「IPジオロケーション」について詳しく解説を行っていくので、ぜひ参考にしてください!
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IPジオロケーションとは?
それでは、まずはIPジオロケーションの概要について説明を行っていきます。
IPアドレスから位置情報を知る機能
IPジオロケーションは、インターネットに接続しているデバイスのIPアドレスをもとに地理的な位置情報を推測する技術です。この技術を利用することで、ユーザーがどこの地域や国からインターネットにアクセスしているのかを知ることが出来ます。
IPジオロケーションでは「IPアドレス」と「位置情報」を紐づけるデータベースが存在しており、そのデータベースを参照することでIPアドレスの位置情報を知ることが出来る仕組みとなります。
詳しくは後述しますが、このIPジオロケーションの技術を使用してインターネットに接続しているユーザーの居る地域に合った設定を行うことが出来るようになります。
分かるのは「大まかな」位置のみ
先述したとおりIPジオロケーションの技術では「インターネットに接続したユーザーの位置情報が分かる」仕組みになっていますが、これで分かるのは大まかな位置情報のみです。
例えば日本の場合「東京都」「大阪府堺市」などの都道府県や市町村程度が限界で、具体的な住所まで特定することは不可能です。
そのため、よくインターネットでは「IPアドレスから住所がバレる」という噂が出回ることも多いですが、IPジオロケーションの技術ではそこまで詳細な位置情報を取得することは出来ません。
IPジオロケーションってどんな用途で使用されるの?
ここまでの説明で、IPジオロケーションがどんなものかご理解いただけたと思います。
では、ここからは「IPジオロケーションの技術ってどんな用途で使われるのか」ということについて説明を行っていきます。
①WEBサイトのアクセス解析目的
WEBサイトによっては「どの地域からのアクセスが多いか調べたい」というアクセス解析の目的のためにIPジオロケーションを使用することも多いです。
例えば日本やアメリカ、中国など様々な国からアクセスがあるサイトの場合「どこの国からのアクセスが多いのか?」ということが分かれば、ユーザーの多い地域用に新たなコンテンツを作成してユーザーの集客を行う、などと言ったことも出来るようになります。
WEBサイト制作者がよく利用するGoogleのアクセス解析ツール「Google Analytics」でもIPアドレスから位置情報を確認できる機能が搭載されており、こちらの機能でも国別や地域別のユーザーを確認できるようになっています。
上記は僕も使っているGoogleAnalyticsの画面で、この画像中の青い丸の部分が「WEBサイトを訪れたユーザーの居場所」です。このように、ユーザーがインターネットにアクセスしたある程度の地域を知ることが出来ます!
②WEBサイトでユーザーの地域に合ったアプローチをしたい場合
また、IPジオロケーションは「WEBサイトを訪れたユーザーの地域に合ったアプローチをしたい場合」にも使われます
例えば良くあるケースとして、「WEBサイトにアクセスしたユーザーのアクセス元の国を調べて、その国の言語でWEBサイトが表示されるようにする」「広告でユーザーの近くのお店や施設を表示する」などの仕組みです。
上記の例だと、WEBサイトを開いたときにユーザーにあった言語設定が自動で設定されれば使い勝手は良く成りますし、ユーザーの近くにあるお店の広告が出たら行ってみたくなる可能性は高くなります。
このように、ユーザーがどこの地域からアクセスしているかが分かれば、ユーザーにとって使いやすいサービスを提供したり広告のエンゲージメントを高めたりすることが可能になります。
よくWEBサイトや動画サイトなどで自分の住んでいる場所の近くのお店などが紹介されたりしますが、これもIPジオロケーションの技術で成り立っています!
③海外からの不正アクセスを防止する場合
IPジオロケーションではユーザーがアクセスしている地域も分かるので、セキュリティ対策のため「このWEBサイトは日本からのユーザーのみアクセスさせたい」などの場合にも使われることが多いです。
特に日本においては、企業の受けるサイバー攻撃の殆どが海外からのアクセスによって起こっているという背景もあり、従業員が使用するクラウドサービスなどで「アクセス元の位置情報が海外だった場合には接続を拒否する」というような仕組みになっていることも多いです。
以前であれば社内ツールはオンプレで社内からしかアクセスできない仕組みになっていることも多かったですが、最近はテレワークが増えたこともあり、従業員の自宅からの接続など不特定多数のアクセスを許容する必要が出てきています。
当然そうすると不正アクセスによる被害も増えやすくなってしまうため、上記のようにIPジオロケーションを使用して特定地域のアクセスを遮断する等の対策を取ることでセキュリティの向上を図ることも可能です。
このようにIPジオロケーションを使って海外からのアクセスを遮断すること等も可能です。ただVPNで接続元IPアドレスを変えればこの制限は回避できるので、完全に安心という訳ではありません。
IPジオロケーションを使用して位置情報を調べる方法
IPアドレスから位置情報を調べるには、IPジオロケーションの機能を提供しているサイトにアクセスして調べるのがおすすめです。
例えばこちらのサイトにでIPアドレスから位置情報を調べた場合、下記のように「現在自分が使用しているIPアドレスの位置情報」が表示されます。
なお、IPアドレスから位置情報を検索できるサイトはたくさんありますが、それぞれ保有しているデータは違います。
そのため「同じIPアドレスでも、サイトAでは位置情報が東京だけどサイトBでは位置情報が大阪になっている」ということもあり、取得できる位置情報は確実に正しい訳ではないので注意が必要です。
まとめ:IPアドレスから位置情報を取得できる「IPジオロケーション」
今回の記事では、IPアドレスから位置情報を取得できる「IP Geolocation(ジオロケーション)」の機能について解説させていただきました。
IPジオロケーションの技術は、現在のインターネットでも広く利用されています。例えば「自分の住んでいる場所の近くのお店が広告で紹介される」や「特定の地域のみアクセスできるように設定する」など、ユーザーの利便性やセキュリティを高めるための目的で使われることが多いです。
この「IPジオロケーション」という名前だけ聞くと、あまり一般的ではないので知らない人も多いと思いますが、インターネットでは無くてはならないほど重要な仕組みになっています。
今回紹介した用途以外にも、IPジオロケーションはインターネットの色々な部分に利用されています。この記事をご覧いただいて気になった方はぜひ調べてみてください!