パソコンでフリーソフトを使用したいとき、Vectorなどのサイトからフリーソフトをダウンロードして利用することが出来ます。特にVectorはフリーソフトの配布サイトとして非常に有名で、フリーソフトを使用したことがある方なら一度は見たことがあると思います。
ただ、最近ではフリーソフトが原因となるマルウェアの感染なども増えており、「Vectorからダウンロードできるフリーソフトって安全なの?」と気になる方も多いと思います。
この記事ではVectorからダウンロードできるフリーソフトの安全性について解説を行っていきます。フリーソフトをダウンロードする前に、ぜひご参考にしてください。
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Vector(ベクター)ってどんなサイト?
Vectorは、株式会社べクターホールディングスが運営するソフトウェアのオンライン販売サイトです。この記事をご覧いただいている方には「フリーソフトの配布サイト」という認識の方も多いと思いますが、主には有償ソフトウェアのオンライン販売を行っているサイトです。
ただ、有償ソフトだけでなくフリーソフトについても登録・公開されており、ユーザーはサイト上に登録されているフリーソフトを自由にダウンロードできます。フリーソフトの配布サイトとしては他に有名な「窓の杜」がありますが、Vectorは窓の杜と同じくらい有名なサイトです。
なお、国内のフリーソフトの配布サイトとしてはVectorや窓の杜を始めとして様々なサイトがありますが、Vectorの特徴は「おそらく日本のフリーソフトの配布サイトの中で登録されているソフトが最も多い」ことです。
現時点でVectorに登録されているフリーソフトの正確な数は不明ですが、おおよそ数万本以上と言われています。日本で有名なフリーソフト配布サイトというと「Vector」と「窓の杜」の2つですが、窓の杜については編集部が直に選んだソフトしかサイトに掲載していないため、単純なソフト数で言えばVectorの方が圧倒的に多いです。
そもそもフリーソフトのダウンロードにはどんな危険性があるの?
ここまでの内容で「Vectorがどんなサイトか?」ということが分かったと思うので、ここからは「フリーソフトをダウンロードにはどのような危険性があるのか?」ということについて解説を行っていきます。
危険性①:フリーソフトがウイルス・マルウェアに感染している可能性
まずインターネットからダウンロードしたフリーソフトで一番危険なのが「フリーソフトの中にウイルス・マルウェアが混入している」場合です。
もしウイルスが混入しているフリーソフトをダウンロードして起動してしまった場合、使用しているPCにもウイルスが感染してしまう恐れがあります。PCがウイルスに感染した場合、個人情報やクレジットカードの決済情報などが盗み出されてしまったり、他のPCにウイルスを広めるための踏み台にされてしまうこともあるので注意が必要です。
実際にフリーソフトが原因でウイルスに感染するというのはよくある事例です。有名な事件で言うと、2012年に起こったパソコン遠隔操作事件では、フリーソフトの中にウイルスを仕込み、ダウンロードしたユーザーのPCを乗っ取るという事例もあります。
一度マルウェアに感染してしまうと、完全に駆除するには「パソコンの初期化」などが必要でとても大変です。そのためマルウェアに感染しないよう警戒することが大切です。
危険性②:作者以外の第三者により作られたソフトの可能性
Vectorのような配布サイトからフリーソフトをダウンロードするもう一つのリスクとして「作者以外の第三者が登録したソフトの可能性がある」ということです。
フリーソフトの制作者本人が登録したソフトであれば安全性は高いですが、関係ない第三者が登録したソフトの場合はプログラムにウイルスが仕込まれていたりすることもあります。
特にファイルをアップロードする時の本人確認が無いアップロードサイトなどでは、こうした偽物のソフトが紛れ込んでいることも多いです。
そのため、もしフリーソフトをインターネットからダウンロードするのであれば、本当にフリーソフトの作者本人が登録しているかしっかり確認しているサイトからダウンロードすることが大切です。
もし可能なら、フリーソフトは作者の公式サイトからダウンロードするのが一番安全です。ただ公式サイトが無い場合ももちろんあるので、その場合は信頼できるサイトからダウンロードしましょう。
危険性③:ソフトのバージョンが古く、脆弱性が修正されていない可能性
配布サイトからダウンロードできるフリーソフトについては、古いバージョンのソフトが更新されず残り続けていることもあります。
これは主に「作者が更新をやめた状態のソフトが残り続けている場合」と、「作者は更新を行っているが、配布サイトに登録されているソフトのバージョンが更新されていない場合」の2種類があります。
古いバージョンのソフトを使用してもすぐさま悪影響がある場合は少ないですが、古いバージョンのソフトで脆弱性(プログラム上の欠陥や弱点)が修正されず残っているケースも多く、サイバー攻撃ではそうした脆弱性を突くウイルスやマルウェアなども存在しています。
そのため、古いバージョンのソフトを使用するのは出来る限り避けるべきです。インターネットからダウンロードするフリーソフトについては、更新日等を見て最新のバージョンかどうか確認するのが大切です。
特にこうした脆弱性については「アップデートを面倒くさがり、脆弱性を放置するユーザーを狙ったマルウェア」なども存在するため、注意が必要です。
Vectorの安全性はどうなのか?ウイルスの可能性は?
ここまでで「インターネットからフリーソフトをダウンロードするリスク」について知っていただけたと思います。では、ここからは「Vectorの安全性はどうなのか?」について紹介を行っていきます。
①掲載前にセキュリティソフトでスキャンを行っている
Vectorでは、サイトにフリーソフトを掲載する前にセキュリティソフトでのウイルススキャンを実施しています。使用しているセキュリティソフトは「Norton」や「ウイルスバスター」、「Kaspersky」など複数のソフトを使用してウイルススキャンを行っており、もしウイルスが混入しているフリーソフトの場合はここで防ぐことが可能です。
ただ、ウイルススキャンでもすべてのウイルス・マルウェアを防ぐことは出来ません。例えば自身の亜種を生成してセキュリティソフトのスキャンから逃れるようなウイルスがあったり、そもそもスキャン時ではセキュリティソフトがウイルスとして認定しておらず検疫をすり抜けてしまう可能性もあります。
上記のようなケースだと、ウイルス付きのソフトでも検知されずにダウンロードできてしまう可能性があります。そのため、ダウンロード後は自身のPCでもセキュリティソフトでウイルススキャンを実行することが大切です。
Vectorではフリーソフトの公開前に何重にもウイルススキャンを行っていますが、それを過信するのは危険です。必ずダウンロードした後に自分のPCでもウイルススキャンを行いましょう。
②フリーソフト登録時には作者情報&登録ソフトの審査がある
Vectorでフリーソフトを公開する場合、誰でもフリーソフトを自由に登録できるわけではなく、ソフト公開前に作者情報を登録して審査を受ける必要があります。
無事に審査が通ってフリーソフトを公開する場合でも、公開予定のフリーソフトに問題が無いかVector側でチェックを行い、問題が無ければ晴れてフリーソフトがVectorからダウンロードできるようになります。
このように、Vectorで新しくフリーソフトを公開する場合は「①作者情報の審査」「②フリーソフト自体の審査」の2つのステップで問題が無いか確認をしています。
そのため、第三者が本来の作者を装って偽のソフトを登録したりすることは困難だと言えます。
普通のアップロードサイトだと「簡易的なユーザー登録さえすればファイルは審査なしでアップロードできてしまう」などというサイトが多いので、Vectorのチェックはしっかりしていると思います。
③ユーザーによるレビュー機能がある
Vectorでは登録されているフリーソフトに対して他のユーザーによるレビュー機能があります。
Vectorのようなインターネットのサイトからフリーソフトをダウンロードするときに心配なのが「登録されているフリーソフトは本当に安全なものなのか?」ということですが、Vectorでは他のユーザーがレビューを書き込めるようになっているので、レビューを見ることで安心なソフトかどうかを判断することが可能です。
もし登録されているソフトが危険なものだった場合、レビューの評価が下がるので一目で分かるようになっています。
なお、レビュー自体は会員登録(Vectorパスポート)を行わないとレビューの投稿が出来ないので、レビュー自体の信頼性も高いです。
レビューでは実際に使ったユーザーの声が聞けるので、セキュリティが安全かどうかという以外にも「○○の機能が使いやすかった」「××の機能は使いにくい…」などの意見も知ることが出来ます。
Vectorのフリーソフトにウイルスが入っていたことはあるのか?
Vectorでは過去のウイルス感染履歴も公開(ページ最下部に記載)しています。こちらによると、Vectorが開設した1995年から現在までに3件ほどウイルス感染被害(1999年、2000年、2006年)が起きたことがあるようです。
なお、過去に起こった3件のウイルス混入事件の原因を調査したところ、下記のような問題が原因だったことが分かりました。
ただ、Vectorでは2009年にも大規模なウイルス感染が起こっています。上記ページの最新更新日は「2015年3月23日」になっていたので、意図的に情報を記載していないのか更新ミスかは分かりませんが、ウイルス感染の事例が上記の3件だけとは限りません。
とはいえ、窓の社など他のフリーソフトの配布サイトはそもそも感染履歴すら公開していないので、上記の記載に間違いがあるからといって信頼できないという訳ではありません。
結論:Vectorのフリーソフトは十分信頼できるが、念のため自身でもウイルススキャンを行おう
この記事ではVectorの安全性と、ウイルス感染の危険性について解説を行わせていただきました。
記事内で解説した通り、Vectorにアップロードされているフリーソフトにはかなり厳重なセキュリティ対策が施されており、Vectorのフリーソフトをダウンロードしてもウイルスに感染するリスクは極めて低いです。
ただ、過去にはVectorでダウンロードしたフリーソフトが原因でウイルスに感染した事例もあるので、絶対に安全なソフトばかりという訳ではありません。