この記事では、7zというファイル圧縮形式の特徴とメリット・デメリットを詳しく解説しています。
7zは、特に大容量のファイルを効率的に圧縮するための形式で、他の圧縮形式と比較しても非常に高い圧縮率を誇ります。
こちらの記事では、ファイルの圧縮形式として7zを使用するメリット・デメリット、zipなどの圧縮形式との違い、7zを使用できるフリーソフト等について紹介を行っていきます。
見出し
7z(圧縮ファイル)とは?
7zはファイルを圧縮して容量を小さくするための形式の一つで、特に大容量のファイルを効率よく圧縮できる点が特徴です。他の圧縮形式としてよく知られるzip形式やrar形式と比較しても高い圧縮率を誇り、ファイルサイズをより大幅に削減することができるため、ストレージの節約やデータの転送・保存時に非常に役立ちます。
7z形式が開発されたのは1999年で、現在主流となっているzip形式が開発されてから約10年後に生まれました。この7z形式はオープンソースの「7-Zip」というフリーソフトによって広く普及し、多くの人に使用されています。
また、7z形式は圧縮率だけでなくセキュリティ面でも優れており、パスワードを使用した圧縮ファイルの暗号化なども可能です。そのためインターネット等でファイルをやり取りする場合でも、仮に第三者の手にファイルが渡ってもパスワードが分からないと中身が見れないため、安心してファイルを送受信することが出来るでしょう。
7zを使用するメリット
これまでの内容で、7zがどのようなものか分かっていただけたと思いますが、ここからは実際に「7z形式を使用するメリットにはどんなものがあるのか?」について説明を行っていきます。
メリット① 圧縮率が極めて高い
ファイルの圧縮時に7zを使用する最大のメリットが「圧縮率が非常に高い」という点です。
例として、試しに約300MBの画像付きPDFファイルをそれぞれzip形式と7z形式で圧縮してみたところ、圧縮率で下記のような違いがありました。
元ファイル容量 | 圧縮済み容量 | 圧縮率 | |
zip | 300MB | 155MB | 約51.6% |
7z | 300MB | 136MB | 約45.3% |
この結果から見ると、同じファイルを圧縮した場合でも7z形式のほうが圧縮後のファイル容量が小さく、より圧縮率が優れていることが分かると思います。
今回検証したのはPDFファイルのため、動画ファイルや画像ファイル、テキストファイルなどの種類によって圧縮率の差は出ると思いますが、どのファイルでも概ね7z方式は高い圧縮率を誇ります。
7zが使われている一番大きな理由が、このように「圧縮率が非常に高い」ことです。圧縮率が高ければ高いほど大容量のファイルをコンパクトに圧縮できるようになり、容量の節約が出来ます。
メリット② 1つのファイルを複数に分割できる
7z形式で圧縮する場合、ファイルを複数に分割した状態でファイルを保存すること可能です。例えば圧縮後のファイル容量が「500MB」だった場合、このファイルを「100MB×5」として保存することが出来ます。
上記で分割したファイルについては、当然解凍することもできます(ただし分割したファイルがすべて揃っていないと解凍は出来ません)。
そのため、例えば圧縮したファイルを相手に渡したいけどオンラインストレージやメールで容量制限に引っかかってファイルを渡せない場合でも、上記方法で分割して送ると渡せることも多いです。
特にオンラインストレージのサービスとかでファイルを受渡する場合は「1つのファイルに付き〇GBまで~」みたいな制限があることも多いので、ファイルを分割して渡すことが出来るのは非常に便利です。
メリット③ 暗号化を行うことも出来る
7z形式を使用するメリットとして「パスワードによる暗号化を行うことが出来る」という点があります。
こちらはzip形式でもパスワードによる暗号化を利用することは出来ますが、7z形式ではzip形式よりも強固な暗号化方式が採用されており、より安全にファイルを扱うことが出来ます。
また、zip形式では暗号化したファイルでもパスワードを解除する前に中身のファイル名等が見えてしまう問題がありましたが、7zではファイル名を暗号化してパスワードを入力しない限りファイル名が見れないようにも設定できるため、機密情報を扱うのには適している暗号化方式と言えます。
圧縮したファイルにパスワードを設定しておけば「パスワードを知っている人しかファイルを解凍できない」ため、第三者にファイルの中身を知られてしまうリスクが減ります。
7zを使用するデメリット
上記では7z方式でのデメリットについて解説を行いましたが、反対に7z形式を使用することのデメリットも同時に存在します。
デメリット① 使用する時は解凍しなければならない
これは圧縮ファイル全般に言えることではありますが、圧縮ファイルは中身を確認する場合に解凍を行わなければならない点が不便です。
圧縮ファイルの容量が数MB~数十MB程度であれば解答に掛かる時間もそこまで長くないので気になることもないでしょうが、もし数GB~数十GBものサイズの圧縮ファイルを解凍する場合、解凍が終わるまでに数分~数十分ほどかかってしまうこともあります。
ただ、ファイルを圧縮せずにやり取りする場合、ファイル本来の容量そのままでデータの移動を行わなければならないため、転送に非常に時間が掛かってしまいます。
圧縮ファイルを使用した場合解凍には時間が掛かりますが、データの転送時間は節約することが出来るので、トータルで見ればメリットとなることが多いです。
ファイルの容量が小さい場合はそこまで解凍に時間が掛かりませんが、ファイル数が多かったり、ファイルのサイズが多かったりすると解凍が終わるまでに時間が掛かってしまいます。
デメリット② 専用ソフトが必要&対応しているフリーソフトが少ない
7z形式の大きなデメリットとして挙げられるのが、WindowsやMacOSの標準機能で圧縮や解凍が出来ないことと、7z形式に対応しているフリーソフトが少ないことです。
また、7zは元々「7-Zip」という圧縮ソフトで使用するために開発された独自の圧縮方式のため、使用するには専用ソフトが必要&7z形式に対応しているフリーソフトは多くないという欠点があります。
最近は7z形式に対応しているソフトも少しずつ増えてきましたが、その中の多くは「7zは解凍のみ対応している」というケースで、7z形式での解凍は出来るものの圧縮は出来ないというケースも非常に多いです。
7zは他の圧縮方式(zip、rar、lzhなど)に比べて対応しているソフトが少ないため、ソフトによっては7zが使えないことがあるのが不便です。
デメリット③ 普及率が低く、知らない人も多い
こちらは上記の話と少し被りますが、7zはファイルの圧縮方式の中でも比較的歴史が新しい方で、かつ7zが開発された2000年代ごろにはzip形式による圧縮・解凍が標準機能として搭載されたWindows XPがリリースされたこともあり、7zは一般的にあまり使われることはありませんでした。
その後zip形式よりも圧縮率が高いことで徐々に知名度が上がり使われることも多くなりましたが、とはいえファイルの圧縮方式に「7z」という形式があるということはそこまで有名ではありません。
そのためパソコンに詳しい人でもなければ「7z」と言っても知らないことが多く、7z形式の圧縮ソフトを渡しても解凍が出来ないこともあります。
7z形式のファイルについては一般的にあまり使われることもないので「そもそも7z形式のファイルでやり取りする機会が無い」などの問題もあります。
「7z」ファイルを圧縮・解凍できるフリーソフト
『7-zip』
7-Zipはファイル圧縮形式である「7z」の開発者自身が作成したフリーソフトです。圧縮率が高く、さまざまな圧縮形式に対応しています。7z形式の圧縮・解凍はもちろん、他の形式(zip、rar、tar、gzipなど)にも対応しており、軽量で使いやすいのが特徴です。
そもそもファイルの圧縮方式として7zを使用することを前提に開発されたため、圧縮フォルダへのパスワード設定機能やファイル名の暗号化機能など、いろいろと便利な機能が付いています。
また、通常のzipによる圧縮と同じように暗号化したいファイルを右クリックすることでファイルの圧縮・解凍ができるため、手軽に使用できるのも便利な点です。
『PeaZip』
PeaZipはWindowsのエクスプローラーのような画面でファイルの操作が出来る圧縮・解凍ソフトです。7zのファイルの圧縮が出来るほか、rar、lzh、tarなどのファイルを解凍することも可能です。
またPeaZipはオープンソースのため透明性が高く、信頼がおけるソフトウェアです。こちらのソフトについては完全無料で使用することが出来るため、お金が掛からないのも嬉しい点です。
なお、インストール直後は画面の言語が英語になっていますが、「Options→Localization」をクリックし、「ja.txt」を選択して開くと日本語化が可能です。
まとめ:7zを利用してファイルの圧縮を行う
今回はファイルの圧縮方式の一つである「7z」についてのメリット・デメリットについて紹介させていただきました。
記事の中でも触れたように、7zは非常に高い圧縮率でファイルを保存することができ、かつファイルを分割して複数の圧縮ファイルに分けて保存することも可能なため、大容量のファイルを圧縮するのに非常に向いている圧縮形式です。
デメリットの部分でも紹介したとおり「専用のフリーソフトが必要」や「認知度がそこまで高くない」というデメリットもありますが、zip形式に比べて多機能で性能が良いため、使いこなすことが出来れば非常に便利です。