パソコンは基本的に消耗品のひとつであり、長い間使用しているとパーツの劣化によって徐々に機能しなくなってしまいます。そうして使えなくなったパソコンは廃棄されることとなりますが、パソコンは電子機器であるため、不燃ごみや粗大ごみで出すことはできません。
パソコンを廃棄する場合は、パソコンの廃棄業者や自治体、メーカー、家電量販店等で回収をしてもらうこととなります。この記事では、そんなパソコンの廃棄方法について記載していきます。
パソコンを廃棄するまでにしておくこと
故障や寿命を迎えて使用できなくなったパソコンは廃棄するのが一般的な処分の方法です。
ただ、長年使ってきたパソコンには個人情報やパスワードなどの重要な情報が詰まっていたり、新しいパソコンを使用する時のためにデータのバックアップを取っておく必要があったりするため、廃棄を行う前にいくつかの作業を終えておく必要があります。
実際に廃棄を行う前までに行っておく作業は以下の通りです。パソコンを破棄したあとではこれらの作業は行えないので、必ずパソコンを廃棄する前に行っておきましょう。
② パソコンのデータをすべて削除する
③ どの回収方法でパソコンを廃棄するか選択する
① データ移行をする場合はバックアップを取る
パソコンを廃棄したあとに新しいパソコンを使うという場合は、廃棄前にあらかじめバックアップを取っておくようにしましょう。
詳しいバックアップの取り方については後述していますが、主な方法としてはUSBケーブルでパソコン同士を接続したり、HDDやUSBメモリ等の外部記憶媒体を使用してバックアップを取ったりするやり方があります。
どの方法を選ぶのが良いかは移行するデータの容量などによって変わるので、ご自身の状況に合わせた方法でデータ移行を行ってください。
② パソコンのデータをすべて削除する
パソコンを廃棄する際にいちばん大切なのが、廃棄前にパソコンのデータを完全に削除しておくということです。パソコンのデータを破棄しないまま廃棄業者などに渡してしまった場合、個人情報やパスワード等の流出してしまう可能性があります。
また、パソコンのデータを削除する際には、ゴミ箱に入れるだけではなくデータ削除ソフトなどを使用して完全にデータを削除しておくことが大切です。ファイルをゴミ箱に入れて空にしただけだと、データ復旧ソフトなどで復元できてしまう可能性があるので注意しましょう。
パソコンのデータ削除については下記の記事で詳しく解説をしています。
③ どの回収方法でパソコンを廃棄するか選択する
パソコンのデータのバックアップ等の作業が終わったら、どの方法でパソコンを破棄するのか決めましょう。パソコンを廃棄する方法としては、主に「パソコンの廃棄業者に回収してもらう方法」や「自治体に回収してもらう方法」「メーカーに依頼する方法」「購入した店舗で回収をしてもらう方法」等が存在しています。
どの方法を利用するべきなのかは、廃棄するパソコンの種類や状態、住んでいる地域によって変わってきます。それぞれのメリット・デメリットについては後述しているので、ご自身の状況を踏まえてどちらを利用するべきなのかを決めるようにしましょう。
パソコンの廃棄方法
それでは、ここからはパソコンの廃棄方法について解説を行っていきます。電子機器であるパソコンは粗大ごみなどとして捨てることはできず、基本的には「パソコン回収をしている業者・団体などに渡す」ということが原則となります。
現在パソコンの回収を行っているのは「パソコン廃棄業者」「自治体」「パソコンメーカー」「家電量販店」の4つのみなので、パソコンを処分したい場合はこのうちのどれかに処分を依頼することとなります。
ただ、これらの業者や団体でパソコンを処分する場合は「パソコン廃棄業者は手続きが楽」「メーカーは有料になる場合がある」などのメリット・デメリットが存在しています。これから詳しく解説を行っていくので、ご自身のパソコンに合わせた処理方法を使うようにしましょう。
廃棄方法② 自治体に回収してもらう
廃棄方法③ メーカーに依頼する方法
廃棄方法④ 家電量販店で回収に出す
廃棄方法① パソコン廃棄業者に送る
パソコン廃棄業者を利用するメリット
手続きが簡単なことが多い
パソコンの廃棄業者を使う一番のメリットは「手続きが簡単なこと」が挙げられます。パソコンの廃棄業者によっては連絡なしで着払いで送るだけでパソコンの回収を行ってくれる業者もあるため、手続きの簡易さの面では群を抜いています。
他の廃棄方法だと身分証明書を提示する必要があったり、サイト等に必要事項を記入しないと回収を受け付けてくれなかったりして不便なケースが多いです。忙しくて時間が取れなかったり、面倒な手続きを避けたい場合は廃棄業者を利用すると便利でしょう。
住んでいる地域によらず回収してもらえる
パソコンの廃棄業者は全国のいろいろな場所にありますが、自治体や家電量販店などに頼む場合と違い、郵送で対応するため全国のどの場所でも回収してもらえることが多いです。
他の方法だと直接店舗や廃品回収場にパソコンを持ち込まないと回収を受け付けてくれなかったりすることが多いので、
パソコン廃棄業者を利用するデメリット
業者によってはお金が掛かることがある
パソコンの廃棄費用は業者によって違いますが、依頼した業者によっては回収費用が発生することがあります。廃棄業者の中でも「パソコンの種類によってリサイクル料金を請求する」「送料だけ請求する」といった風に料金が決まっていないのも使いにくい点です。
ただ、有料のパソコン廃棄業者でも、キャンペーン等によって無料でパソコンを回収してもらえることもあります。業者に依頼してパソコンを回収してもらう場合は、無料の業者を探すかキャンペーン中に申し込むのが良いでしょう。
廃棄方法② 自治体に回収してもらう
自治体を利用するメリット
無料利用できる場合が多い
自治体でパソコンを回収している場合、市町村によっても変わりますが原則無料で回収しているところが殆どです。自治体によっては破損したパソコンなど一部有料のケースもあるので注意する必要がありますが、パソコン廃棄業者よりは無料でパソコンの回収を行っていることが多いです。
また、パソコン廃棄業者は「リサイクルは無料だけど送料は自己負担です」「データ削除の費用は請求します」などというケースもあるので、完全無料で利用できることが多い自治体の方が費用面では安心でしょう。
安心してパソコンを破棄できる
民間業者に依頼してパソコンの破棄を行うのに比べると、自治体の方が情報漏洩等のリスクは少なく、安心してパソコンの廃棄を任せることが出来ます。また、自治体は回収したパソコンのデータを政府機関が使用している高度な技術で削除しているため、万が一にもHDDなどにデータが残っている可能性が無くなります。
自治体を利用するデメリット
そもそも回収作業をしていない自治体も多い
日本の自治体のすべてがパソコンの回収作業をしているわけではなく、中にはパソコンの回収を受け付けていない自治体も存在しています。ただ、その場合は自治体が認定したパソコン廃棄業者が回収を行っていたりすることが多いので、民間の業者を利用するようにしましょう。
住んでいる自治体がパソコンの回収を行っているかどうかは市町村の公式ホームページに記載されていることが多いので、気になった時は公式サイトを見るようにするのが良いです。
廃棄方法③ メーカーに依頼する方法
メーカーを利用するメリット
PCリサイクルマークがあれば無料
回収を行うパソコンに「リサイクルマーク」のシールや刻印がある場合は無料で回収を行ってくれます。
リサイクルマークは2003年10月以降に販売されたパソコンについており、パソコンの側面や底面にシールで貼られていたり、小さな刻印で表示されていることが多いです。よほど昔に製造されたパソコン以外にはリサイクルマークが付いているので、メーカーに依頼すれば無料で回収してもらえることが多いです。
ただ、リサイクルマークが付いている商品は家庭用のパソコンのみなので、法人向けのモデルは無料回収はされないので注意しておきましょう。
メーカーを利用するデメリット
他社製のパソコンは引き受けてくれない
原則、メーカーが回収を行っているパソコンは自社製のモノだけです。例えばNEC製のパソコンを富士通で引き取ってもらうのはどんな方法を使っても不可能です。
この問題については購入したメーカーに回収依頼をすればいいだけの話ではありますが、メーカーによっては回収の手続きが分かりにくかったり、回収手順が面倒な場合があるというのが使いにくい点です。
PCリサイクルマークが無いと有料になる
メーカーではリサイクルマークが付いていないパソコンも回収することが出来ますが、その場合は有料で回収してもらうことになります。
料金はメーカーによっても違いますが、リサイクルマークの付いていないパソコンは概ね3,300円の回収費用が掛かります。昔のモニターがブラウン管(CRT ディスプレイ)の一体型パソコンなどは回収費用が少し高く、4,400円となっていることが多いです。
ただ、現在使用されているパソコンは殆どリサイクルマークが付いているので、よほど古いパソコンを使っている人以外は無料で回収してもらえるでしょう。
廃棄方法④ 家電量販店で回収に出す
家電量販店を利用するメリット
下取りをしてもらえることもある
パソコンの状態が良かったり、購入してからそれほど期間が経っていない場合は下取りとしてパソコンを買い取ってくれることがあります。下取りを行っているかは店舗とパソコンの状態によって違いますが、まだ動かせるパソコンを回収してもらう時は家電量販店に持ち込むと良いでしょう。
また、店舗によってはパソコンの回収を行った後に新しいパソコンを購入することで「買い替えサービス」として割引が効くこともあります。
パソコンの周辺機器なども回収してもらえることが多い
廃棄業者によってはパソコン本体以外にも、マウスやキーボード、モニターなどの周辺機器も回収してもらえることが多いです。
例えば自治体の場合だと周辺機器の一つであるモニターはゴミとして処分できなかったり、その他の周辺機器は取扱い対象外として回収してくれないこともあります。
家電量販店を利用するデメリット
手続きが面倒なことが多い
家電量販店でパソコンを回収してもらう場合は、他の方法に比べて手続きが煩雑な場合が多いです。運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書が必要となったり、パソコンの状態を査定するため廃棄までに時間が掛かってしまったりと、廃棄が終わるまでに手間と時間が掛かってしまいます。
店舗によってはパソコンを持ち込んでから廃棄を行うまでに1週間前後の時間が掛かってしまったりと、すぐに廃棄が出来ないのが難点ではあります。
動作不良の場合は引き取ってくれないことがある
持ち込んだ家電量販店によっては、古いパソコンや動作不良品のパソコンは引き取ってくれないことがあります。このあたりは家電量販店によっても対応が違いますが、引き取り基準がハッキリと公表されていないため無駄手間になることも少なくありません。
基本的に家電量販店のパソコン引き渡しは、回収というより”買取サービス”として行っていると思った方が良いでしょう。買値が付かないようなパソコンは、家電量販店ではなく自治体や回収業者に依頼した方が早く済む場合が多いです。
パソコンのデータ移行の方法
古くなったパソコンを廃棄して新しいパソコンに買い替える場合、古いパソコンのデータを新しいパソコンに移行する作業を行う必要があります。
パソコンのデータ移行を行うときは、USBケーブルを使用してパソコン同士を繋げたり、HDDやUSBなどの外部記憶媒体を使ったりすることで古いパソコンから新しいパソコンへとデータを移し替えることが出来ます。
ここからはパソコンのデータ移行の方法について解説を行っていきます。
方法① USBケーブルでパソコン同士を繋いでデータ移行をする
方法② HDDやUSBなどの外部記憶媒体を使用する
方法③ クラウドでデータを移行する
方法① USBケーブルでパソコン同士を繋いでデータ移行をする
移行するデータが大容量だった場合、USBケーブル等でデータ送信を行うのが良いでしょう。他の方法でデータ移行をするよりも大量のデータを早く移動することができるため、データ移行の作業時間を減らすことができます。
パソコン同士を繋ぐUSBケーブルは、両面の差込口がUSB型になっているケーブルを選びます。Amazonで「USBケーブル」と調べるとスマホの充電ケーブルなども検索結果にヒットするので、間違った商品を購入しないように注意しましょう。
方法② HDDやUSBなどの外部記憶媒体を使用する
移行するデータの容量がそこまで大きくない場合、HDDやUSBメモリなどの外部記憶媒体を使用してデータ移行をするのも一つの手段です。
HDDなどの外部記憶媒体を使用した場合は「パソコンAのデータをHDDにコピー」→「HDDのデータをパソコンBにコピー」といった手順を踏む必要があるため少し時間が掛かってしまいますが、非常に簡単なためパソコンに詳しくない方にもおすすめの方法です。
HDDかUSBメモリのどちらを使うかは移行するデータの容量で決めるのをおすすめします。データの転送速度もUSBメモリよりHDDの方が早いことが多いので、データ量が数十GB以上ならHDDを使用した方が早く済むでしょう。
方法③ クラウドでデータを移行する
移行するデータが少量だったり、ネット回線の速度に自信がある場合はクラウドサービスを利用してデータの送受信を行うのも良いでしょう。
有名どころだと15GBまで無料の「Google Drive」や、50GBまで無料の「MEGA」などのクラウドサービスが存在しています。他の方法と違って、USBケーブルやHDDなどの必要なモノを買わなくてもネット環境さえあればデータ移行が行えるので、費用を安く済ませることが出来るのがポイントです。
パソコンを廃棄する時に気を付けておくこと
必ずデータはすべて消して廃棄に出そう
個人情報が多く含まれているパソコンの廃棄を行うときは、必ず事前にデータをすべて削除しておきましょう。
実際、過去にはパソコンの廃棄業者が顧客の個人情報の入った廃棄パソコンのHDDをネットオークションに出品して大量の個人情報が漏洩したという事例もあります。
パソコンに保管していた写真やテキストを見られるだけなら問題ないかもしれませんが、パスワードやクレジットカードの情報などが入っていた場合は金銭的な被害が発生する可能性があります。
データ削除をするときはデータ削除ソフトを使用しよう
パソコンのデータを削除するとき、普段ならゴミ箱にファイルを入れるだけで大丈夫ですが、パソコンを廃棄する時は必ずデータ削除ソフトを使用してファイルの消去を行いましょう。
なぜなら、データ復旧ソフトなどを用いればゴミ箱に入れて空にした後のファイルでも復元できてしまう可能性があるからです。本来こうした復元ソフトは間違って破棄してしまったデータを復旧するために存在しているものですが、廃棄PCからデータを復旧させるのに悪用されることも多いのです。
データ削除ソフトには有料のものもありますが、フリーソフト(無料で使用できるパソコンソフト)も存在しているので、無料のデータ削除ソフトを使用して廃棄予定のパソコンのデータを削除すると良いでしょう。
まとめ:不要なパソコンの処分方法について
今回は「使えなくなったパソコンの廃棄方法」について解説をさせていただきました。
電子機器であるパソコンは不燃ごみや粗大ごみなどで出すことが出来ず、処分する時は自治体やパソコン廃棄業者、メーカー、家電量販店などに回収してもらう必要があります。
基本的にパソコンの回収を行っているのは以下の業者・団体となっています。パソコンを廃棄する時は、下記の場所に回収をお願いしましょう。
廃棄方法② 自治体に回収してもらう
廃棄方法③ メーカーに依頼する方法
廃棄方法④ 家電量販店で回収に出す