こんにちは、バニラアイスです。
あなたは「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれる心理学理論をご存知ですか?
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「ダニング=クルーガー効果」の説明
ダニング=クルーガー効果
ダニング=クルーガー効果(ダニング=クルーガーこうか、英: Dunning–Kruger effect)とは、能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越の錯覚(英語版)を生み出す認知バイアス。
この現象は、人間が自分自身の不適格性を認識すること(メタ認知)ができないことによって生じる。1999年にこの効果を定義したコーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーは、「優越の錯覚を生み出す認知バイアスは、能力の高い人物の場合は外部(=他人)に対する過小評価に起因している。一方で、能力の低い人物の場合は内部(=自身)に対する過大評価に起因している。」と述べている。
(引用:Wikipedia『ダニング=クルーガー効果』)
簡単に説明をすると、
①能力が高い人は他人と比べて自己評価をするため、自身を過小評価する。
②能力が低い人は自分自身と比べて自己評価をするため、自身を過大評価する。
ということです。
つまり「はぁー、俺ってダメだな……」「私ってダメだな」と思っている人は、自身の能力の高さゆえに自己評価が低いのかもしれません。
はぁ、僕ってダメだよね……
よく分かってるじゃん。
!?
なぜ認知バイアスが生じてしまうのか
では、なぜ能力が高い人は自己評価が低くなり、能力が低い人は自己評価が高くなる傾向があるのでしょうか?
普通は能力と自信は比例するように感じますよね? 中学校で習った「y=x」の右上に延々と伸びていくグラフのように、能力が高ければ高いほど自信を持つのが人間だと思います。
ただ、ダニング=クルーガー効果によれば「能力が高い人は自己評価が低い」という研究結果が出ており、これだと私たちが考えるものとは正反対の結果となってしまいます。
これから、「なぜ能力と自己評価は比例しないのか?」を考えていきます。
能力が高い人は他人の才能を羨む
まず「能力が高い人は自己評価が低い」ことについて見ていきましょう。
・能力が高い人の傾向
①自分に足りない能力を正確に把握できる
②他人の才能が煌びやかに輝いて見える
③「他人の優れている部分」と自分を比較する
能力が高い人の自己評価が低いのは、このあたりが原因だと言われています。
今の自分を客観視して不足している能力を探し、それを持った他人に対して無力感を感じ、ゆえに「相手の専門の分野」だけを見て自分との違いを決めてしまいます。
例えるならあなたが大学生で、勉強はできるけどコミュニケーションに難がある人だったとします。学力テストでは毎回上位の成績を残し、紛れもなく優秀な人間であるということが出来ます。
ただ、あなたは自分のコミュニケーション能力の不足を感じ、それをどうにかして治したいと思っています。
そうした中、交友関係が非常に広い野球部の人を見ると、あなたはきっと「あんなに友達が多いってすごいなぁ……。僕よりもよっぽど優れた人間だよね」と思ってしまうでしょう。
実はその野球部の人が交友関係は広いけど学力テストで毎回最下位の成績だったとしても(野球部の方ごめんなさい、他意はありません)、「交友関係が広い」という良い点だけを自分と比較して、学力が低いことなど微塵も評価しません。
自分の不足している能力を正確に把握でき、それを改善したいと思っているからこそ、「自分が苦手な分野」で「他人の得意な分野」と勝負をしてしまうという訳です。
ここからは私の個人的な意見ですが、能力が高い人には向上心が強い人も多いように思えます。
向上心が低ければ他人との能力の違いなんて興味が沸かないでしょうし、自分の欠点を改善しようと思うことすらないのではないでしょうか?
「自分の苦手なこと」と「他人の得意なこと」を比べてしまう背景には、「あの人と同じレベルまで自分の能力を高めたい」という向上心があるのだと思っています。
他人への劣等感は自分自身への向上心の裏返し、とも言うことが出来ると私は考えています。
能力が低い人は他人の才能に関心がない
では次に能力が低い人について見ていましょう。
①そもそも自分に足りない能力を把握できない
②他人は他人、自分は自分と考えている
③「自分の劣っていたとき」と今の自分を比較する
能力が低い人の自己評価が高い原因は以上の通りです。
まず自分自身に足りない能力を正確に推定することが出来ず、他人と自分の区別をしているため他人と比較をすることなく、「自分の劣っていたとき」と比較をするため常に自己評価が高くあり続けます。
先ほどまでの話と同様に、あなたは学力テストで上位に入る頭の良い人だったとします。
ただ以前の例との差異は、「自分にはコミュニケーション能力が足りていない」ということを理解できていないことです。
自分に足りないものが分かっていないから、野球部の人を見ても何も思わなかったでしょう。仮に交友関係の優劣に気が付いたとしても、「他人は他人、自分は自分」という身も蓋もない言葉で完結してしまいます。
そして他人の才能に興味がないからこそ、過去の自分と能力を比較してしまいます。
常に過去の自分と比較をしていれば、当然能力が上がっているように感じます。
例えばテストの点数で、過去に40点だったテストが現在60点にまで上がったとします。しかし教師に平均点を聞いてみると75点で、15点も足りていないことが分かりましたが、前回から20点も上昇したのでOKとしました。
しかし、テストの点数なんて勉強を続けていれば当然のように上がりますよね?
よほどダラけていない限り、人は過去の自分に負けることは滅多にありません。なので過去の自分と今の自分を比べても殆ど意味は無いのです。
「ダニング=クルーガー効果」の身近な例
テストの点数が思った以上に良かった(悪かった)
先ほど出した例ですね。あなたも学生時代に一度は経験したことがあると思います。
クラスメイトが「今回はめちゃくちゃ点数良かったよ!」と見せてくれた点数が、平均点より下だったということはありませんでしたか?
反対に学年2位の優等生が「あれだけ勉強したのに!」と今回も1位に届かなかったことに腹を立てていることもあります。
前者のクラスメイトは前回の自分と今回の自分を比べて「点数良かった!」と喜び、後者の優等生は学年1位の秀才と自分を比べて「あれだけ勉強したのに!」と嘆いています。
この違いは、自分を誰と比較しているかということだけです。
役に立たない上司が威張り散らかしている
これもダニング=クルーガー効果の一例となります。
「能力が低い人は自己評価が高い」という研究結果から、実務能力が不足している上司ほど自己評価が高く、自分のことを有能だと考えているということです。
本当に有能な人なら、どれだけ能力が高くても自分に足りない部分を求めて努力を続けるため、有能であればあるだけそれをひけらかすことはしません。
「俺は有能だぞー、ガハハ!」なんてやっている人は、総じて自己評価を間違った人だと言えますね。
「能力があるのに自信がない人」にならないために
では「能力があるのに自信がない人」にならないためにはどうすればいいのでしょうか?
出来ることなら、能力が高く、自信も持っている完璧な人を目指していきたいですよね。
「比較」と「成長」の2つを使い分ける
今までの話で目ざとい人なら引っかかりを覚えているかもしれませんが、「優秀で自信がない人」と「優秀じゃないが自信がある人」というのは違った視点で自己評価を行っています。
それが「比較」と「成長」です。優秀な人は常に他人と自己を「比較」して自己評価を行い、優秀じゃない人は常に自分自身の「成長」を基準に評価を行います。
前者は他人と比較をするために求める基準のレベルが高くなる傾向にあり、後者は自分自身の成長をもとに評価をするため基準が低くなりがちです。
ただ、「成長」が悪だと言っているわけではありません。自身の成長を実感できるならば、それはおのずと自身に繋がるようになります。
重要なのは使い方で、自分自身の成長のみで自己評価を決めると低いハードルでも簡単に満足するようになります。
他者との比較をしつつ、過去の自分からの成長も実感できれば、自信と有能さを両立できるようになるでしょう。
自信を持たないことが「有能」だと知る
自信を持つことが必ずいい結果になるとは限りません。
自信とはあくまでツールの一つで、説明書を読まずに使いこなそうとする人は大抵操作方法が分からずに失敗します。
分かりやすく言うなら、根拠不明の自信を抱えている人が成功できると思いますか? 私は成功できるとは思えません。
根拠がどこにあるのかを明確に分からない自信は、往々にして油断した人間の足を引っかけて転ばせます。
「俺なら大丈夫だ!」という考えは、自信ではなく慢心と呼びます。
慢心して足をすくわれるくらいならば、いっそ自信なんて持たない方が堅実に立ち回ることが出来るでしょう。
まとめ
書いていると、つい筆がのって長い記事になってしまいました。ここまでお読みいただいた方、誠にありがとうございます。
ダニング=クルーガー効果の解説、いかがでしたでしょうか?
今回この記事を書いたのは、「自分に自信が持てない」と悩んでいる方に、「あなたは優秀だよ」と伝えるためです。
この記事を読んで、少しでも気が楽になっていただけたら幸いです!
①優秀な人ほど自己評価は低い
②優秀じゃない人ほど自己評価が高い
③優秀な人は「自分の苦手なこと」と「他人の得意なこと」を「比較」している
④優秀じゃない人は過去の自分自身からの「成長」を見ている
⑤「比較」と「成長」を使い分ければ自信を獲得できる手段になる
⑥自信と慢心を混同しないように注意が必要